作品置き場
□やっぱり君が好き
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君のとなり。誰よりも居心地がよかった。
君のかおり。ふわりとあたたかかった。
君の笑顔。見てるだけで幸せになれた。
君といっしょにいて思うこと。それは、やっぱり―――。
「おまたせ!遅れてごめんね、日番谷くん」
「おう。おせーぞ、雛森」
「えへへ。仕事がなかなか終わらなくて……」
「ったく、しょーがねえな。ほら、行くぞ」
言葉と同時に、日番谷が手を差し出す。その手を雛森がしっかりと優しくにぎる。そして、日番谷がまた手をにぎり返す。そうしてつながれたふたりの手。
これはもう、あたり前の日常風景。
今日はふたりとも早めに仕事を切り上げて、久しぶりに流魂街を散歩しに行くことになっていた。
春の午後の陽射しは、とても心地がよくて気持ちが晴れやかになるし、花がきれいに咲いている。だからいっしょに散歩をしよう!そう言い出したのは雛森のほうだ。それなのにその雛森が待ち合わせの時間より1時間も遅れての大遅刻をするもんだから、もちろん日番谷は少しだけ不機嫌になっていた。まあ、それも仕事のせいだからしょうがないとはわかっているんだけど。
それに、手だけは、しっかりとつないでるし。なにより、こうして雛森といられる。雛森が笑顔でとなりにいる。
それだけで充分だった。
「で、どこに行くつもりなんだよ」
「あのね、今日は目的を決めずにふらふら〜っとお散歩しようと思うの」
「へえ、別にいいんじゃねえか?おまえ方向感覚ねーから迷わないかが心配だけどな」
「み、道に迷ったりなんかしないもん!」
「どうだか」
目の前でむっと頬を膨らます雛森。も〜、日番谷くんったら。とつぶやくその姿はすごくかわいく見えて。今日雛森に逢えてよかったな、と日番谷思った。
こんな他愛のない会話でも、雛森とだったら全部がたいせつな時間、宝物に変わってしまう。
「じゃ、行こっか!」
「ああ」
くいっと雛森の手に日番谷の手がひっぱられる。いつもと立場が逆になっているけど、今日は行き先を雛森に任せることになっているから日番谷自身特に気にしてはいなかった。―――が、
「……あれ?ここに来ちゃった……」