作品置き場

□やっぱり君が好き
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雛森に連れられて着いた場所。

それは、ふたりのいつものデートコースに入っている河原だった。河原といっても、草花がたくさん生えている変わった河原。だからこそふたりはそこをデートコースに選んで、ほとんどデートのときはそこに来ていた。のに……、



「なんだ、今日はやけに張りきってたからいつもと違う場所に連れてくんのかと思ったぜ」



日番谷のつぶやきに、雛森が敏感に反応した。なぜか顔を赤くして。



「あたし、違うところに行くつもりだったもん!でも、なんでか……気づいたら、自然とここに…来てたの……」

「……………?」

「だからっ!ここが日番谷くんとよく過ごす、たいせつな場所だからかなあ……みたいな……」



言っててだんだん恥ずかしくなってきたのか、雛森のさっきまでですでにほんのり赤かった顔がさらに赤く、例えるならそう、林檎のように染まっていく。



「……っ……反則だろ、それ」



そんな雛森に不意打ちをくらってしまった日番谷の顔も、思わず赤くなってきてしまっていた。

まさか雛森からそんな言葉が出てくるなんて思ってもいなかったから、今のは相当効いた。こんな不意打ち、体に悪い。現に今、日番谷の心臓はばくばくだ。



「不意打ちって、なにが?」

「べ、別に。……とりあえず、まあ来ちまったんだからここで休憩するか?」

「あ、うん!」



そうと決めると、一旦つないでた手を離し、ふたりは河原へ腰をおろした。ふわり。草花のいい香りが広がる。思わず幻想的な世界へと吸い込まれそうな、例えにくいけどそんな感じ。とにかく、心地いい。





来る場所もいつもと変わらないし、特別変わったことがあったわけでもないけど、それでも日番谷は今日ここに雛森と来れてよかったと、雛森に逢えてよかったと改めて思う。

何気ない日常だけど、いつもと変わらない君がとなりにいるだけで、それだけで幸せになれてしまうんだから。



「好きだなあ〜……」

「なっ…なんだよ……急に……」

「この景色」

「ってそっちかよ」

「でも、日番谷くんはもっともーっと、大好きだよ!」

「……へえ。どうも」







君のとなり。誰よりも居心地がよかった。
君のかおり。ふわりとあたたかかった。
君の笑顔。見てるだけで幸せになれた。

君といっしょにいて思うこと。それは、やっぱり―――君が好き。








-END-

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