作品置き場
□キスまでの距離
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「乱菊さんがね、さくらんぼくれたの」
シロちゃんも食べるでしょう?と、雛森は俺の部屋にある台所に行き、さくらんぼを洗った。
雛森はそれを持参した花を型どった透明で涼しげな容器に盛り付けた。
そして、俺の前に置く。
俺は目を書類から離し、さくらんぼをみた。
「現世のさくらんぼじゃねぇか」
「今日、任務だったでしょう?」
現世のさくらんぼは気候の関係で、少し明るい赤に染まる。
目の前のさくらんぼは明らかに現世のものであった。
「持ち込み届けに無かったぞ」
「無断持ち込み?」
「だな。」
ありゃりゃと雛森は、しょうがない副官さんだね、と言った。しょうがないで済まされるか、と書類を机の上に置き、さくらんぼを摘まんだ。
「やっぱりブラックチェリーより良い味するな」
「色も可愛いしね。」
甘くて美味しい。しょうもない副官に不本意だが感謝せざるを得ない。
日番谷は、雛森が赤い実を沢山食べれるように黄色い実を食べた。
「あまい…」
「そら良かったな」
「さくらんぼじゃなくて、」
「あん?」
「シロちゃんが、私に」
「当然」
普段鈍いくせして、こう言う時は目ざとい。
雛森は、シロちゃんも赤いの食べなさい、と赤い実を俺に手渡した。
「あま…」
「さくらんぼが?」
「さぁな」