謎解きはバレーのあとで!?

□ Story7 愛の迷宮へようこそ
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「 お嬢様、お茶が入りました。」



「ありがとう。」



「朝食、ごちそうさま。米山特製フレンチトーストは、いつ食べても絶品ね。」



「ありがたきお言葉にございます。」



「……。」



「……。」



「お嬢様?」



「なぁに? 米山。」



「本日は、昨日の試合のことをお聞きにならないのですか?」



「…あぁ、そう…ね。どうだった?昨日の試合。確か…、イタリア戦だったわよね。」



「序盤は、互角の戦いができていたと思うのですが…。また中盤・終盤、踏ん張りきれず、ストレート負けでございました。」



「そう…。残念…だったわね。」



「お嬢様??」



「…え?」



「どうされました? いつもでしたら、『イタリアのイケメンも捨てがたいわね!』ですとか、『やっぱ、福澤のバックアタックはキレキレね〜。』とか、おっしゃるところでございましょう?」



「…え、あぁ。今から言おうと思ってたところよ!」



「そう…でございますか。それは失礼いたしました。」



「……。」



「……。」



「そ…、そう!アナタ、昨日の試合、ブロック決めた山村さんのアタマ、ガンガンに振ってたけど、あれは完全にやりすぎよね?」



「………。 確かにあれは、私も少々やりすぎたと反省いたしました。」



「あれは…、なぁに? 新しい愛情表現かしら??」



『米山ってば、山村さん狙いなんて、シブすぎるわよっ!!トミーと松本さんの間に割って入るの期待してたのに、なんかつまんな〜い。』







「お嬢様…!! またつまらぬ妄想を…」



「ち…、ちがうわよっ!  それで?山村さんに、怒られなかった?」



「山村さんは、オトナな方でございますゆえ。」



「あなたと違ってね〜。」



「はっ??






「しかしながら、お嬢様。」



「なぁに?」



「その件は…、昨日ではなく、その前日、ロシア戦のことかと存じますが。」



「えっ…?? そ…っ、そうだったかしら??」








クスッ



「なっ…、何よ、米山!!」



「お嬢様は、ごまかすのが恐ろしく下手でございますね。」



「え……」



「清水のことが……、気になってらっしゃるのでございましょう?」



!!



「………。」









「あんな涙…、見ちゃったら……ね。」



「お嬢様……。」



「それにしても…。 米山は、なんでもお見通しなの?」



「私は…、いつもお嬢様のおそばにおりますゆえ、当然でございます。」



「そう…。米山にウソはつけないわね…」









「ところでお嬢様、バレーは何人でするかご存知ですか?」



「ちょっと!!米山! また私をバカにしているの!? そんなの、6人に決まっているでしょう?」



「そのとおりでございます。さらには、リザーブの選手や、監督・コーチもおります。」







「……?」



「もし…、清水ひとりに負けた責任を背負わせてしまったとするなら…、それは、私たちにも責任がございます。」



「米山…。  そう…よね。バレーは…、ひとりではできないものね。 チームの愛が試されるって……、こういうことだったの?今日は、いよいよ最終戦だっていうのに…」








「お嬢様、心配はいりません。清水は、きっと大丈夫でございます。」



「米山…。」



「よくも悪くも、目立つポジションでございますゆえ、調子が悪ければ、昨日のようにつらい思いもするでしょうが……」



「……。」



「清水には、私たち仲間や、たくさんの応援してくれる方々がおりますから。」



「えぇ…。そう…よね。」







「清水自身も、様々なプレッシャーや、くやしさを乗り越えてこそ、真のエースとして成長していくのでございます。」













「もしかして、米山も…  これまでいろんな悔しい思いをしてきたの?」



「お嬢様……?」






「そうでございますね…。 私も、身長があと10センチ高かったらと、何度思ったことでございましょう。…ないものねだりとは、重々わかっているのでございますが。」










「米山…?」



「何でございましょう?お嬢様。」



「たとえば…、私が迷宮で迷ったとしたら…」



「? 本家ドラマの主題歌…で、ございますか?  そのような時には、もちろん、私、米山が、お嬢様の手を引いて、出口へと導きましょう。」



「そうよね。 だけど…。もし……、米山が迷った時は…」



「お嬢様、迷った時点で、執事として失格でございます。」



「そうだけど。 だけど、もし…、もしも米山が迷ったその時は……、その手を引くのは、主である私の役目だと思うの。」













「お嬢様……、どうしてそんな…、お話…を?」







「今の米山は……、バレーに迷っているように見えるけ…ど?」






「!!!!  お嬢様…、何をおっしゃって…」






「あなただって…、本当は、泣きたいくらい悔しいのでしょう ────…?」








「お嬢…様…」



「後ろにいて、カオが見えてないと思って、油断してた?」



「………。 参りました…ね…。バレーのことは、全くおわかりにならないのに ──…」



「バレーのことはわからなくても、米山のことは……、わかるもの。」







ギュッ…








「!!  よね…や…ま…」



「すみません、お嬢様。 もう少しだけ…、このまま……」

















「米山…?  “頑張れ”なんて、私には…、簡単には言えないけれど。」



「それでも、忘れないでほしいの。 あなたがいつも私のそばにいてくれるように、あなたのそばには、いつも私がいるんだってこと。」





「お嬢…様……」









「泣いても、迷っても…。米山にとっての迷宮の出口は…、やっぱりバレーにしかないんじゃないかしら。」



「コートの中では、そんなカオしちゃダメよ。 チームのみんなが…、米山を頼りにしているのだから。」






「かしこまりました…。  お嬢様……」
















































「あの……。お嬢様、そろそろ離れてよろしいですか?」



「もう!いいトコだったのにっ。 もうちょっと余韻に浸らせなさいよ〜。」 



「いや、私、じんましんが………」



「はぁぁぁぁぁ!?









「一度でいいから、“後ろからそっと抱きしめられる”とか、やってみたかったのよねっ!!  …もっとイケメンだったらよかったけど。」



「お嬢様っ!?  …ったく。『今回はシリアスよっ!』などという安易な思いつきに、いやいやながら、つきあって差し上げましたのに…」



「米山だって、けっこうノリノリだったじゃない!」



「『ま〜さ〜か〜』で、ございますっ!!」



「はぁっ!? 今頃、読者の皆さまは、感動で大泣きよっ!!」



「はぁぁぁぁ? お嬢様の三文芝居など、とっくにバレバレでございます!!!」






「……“謎バレ”だけに??」






  お嬢様、お願いですから、しばらくの間、ひっこんでおいていただけますか!?」







「読者の皆さま、次回、謎バレ いよいよ最終回!! 私、米山のみで、お送りいたします。」







「ちょっとっ、米山っ!! 私あっての謎バレよっ!!!!」



























『お嬢様…。 私、米山、お嬢様のお言葉に、不覚にも…少々ズキュンときました。』





Special Thanks To 優菜さん
2011.12.4


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