StoryX

□SSS←5
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ゆっくりと足場が崩れ削れていくような不安感に

「時間が停まれば良い」

ラビは、そう呟いた。

「どうしたんであるか」

「もう、あと少ししかないさ」

教団を、出ていく。

「…ラビ」

「でも、多分、時間が停まったらオレ、死んじまうさ
歴史を見るしか、オレには出来ないから」

次の記録地(ログ)は決まっている。

自ら成り果てるものの使命も。

「それならば何故?」

「クロちゃんが…好きだから」

ゆっくりと…

時間が経つ度に、『ホーム』の居場所は消えていく。

それが記録者の宿命だと

教え込まれて来た。

けれど、も。

「時間が、停まれば良いさ」

そう、願う。

たとえそれで死んだとしても

オレは

「クロちゃんの傍に、居たいさ」


fin


後書き

時間はラビにとって居場所を奪うものであり存在意義を与えてくれるものでもある。
双方の価値がプラスマイナスゼロであるならば問題は無い。その筈だった。
―――保たれて来た沈黙の中の均衡が崩れたのはひとえに愛する人の出現に因った。


write2007/10/24
up2007/10/24
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