Story W

□すたー★すたー!すたー!!!
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「七夕さね」

「そうだね」

「………」
「………」

ダッ
「「………クロちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!!」」



クロウリーは困惑していた。
何時も通りに食堂で夕飯を取っていると、いきなり目の前にラビとコムイが現れたからだ。
「オレがアルタイルならクロちゃんはオレのベガさっ」
「何だいそのベタな台詞!そんなので僕のクロちゃんが君を相手にする訳無いじゃないか。
さぁクロちゃん、僕と宇宙のように永遠な愛を語ろう!」
「うわ何さその安い文句、もうちょっとマシなのはなかったんさ。
さっ、クロちゃん今夜は夜通しオレと愛を確かめるさぁ〜」
「キモい!!キモいよラビ君キモいキモいテラキモい!」
「うるせぇさアンタはカーラー巻いて溜まりまくった仕事でもしてろ!」
自分に用があるのだろうが、二人とも激しく口論を初めてしまい何なのかわからない。
食べかけていたジェリー特製トルコライスプレートが冷めゆくのに、クロウリーは困った顔で二人を見ていた。
「……あの」
「何さクロちゃんオレになんか用さ!?」
「僕に聞きたいことがあるなら何でも聞いて良いよ!?」
小さく話し掛けただけなのに凄い勢いで返され、思わず手にしていたスプーンを取り落とす。
次の瞬間そのスプーンは二人の手の間で激しく引っ張られていた。
「クロちゃんのスプーンは俺のもんさぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「僕が貰うんだよ離してくれ!!!」
「誰が!舐める気さ舐める気なんだろこの変態!!」
「君こそそれで何する気だいアレする気だろうこの外道ぅうう!!!!」
目の前で繰り広げられるいかんせん低レベルで頭のオカシイ戦いに、半ば引き気味のクロウリー。
困惑していると、やれやれ、と後ろで声がし、振り向いた。
するとそこには、笹を抱いたブックマンが立っている。
「騒がしいことだ」
と呟きながら通り過ぎようとするブックマンに、二人の事は放置することにしたらしいクロウリーがその笹は何であるか、と尋ねた。
立ち止まったブックマンはああ、と説明を始める。
「中国や日本、アジアの東の方に伝わる行事で、七夕と言う。
鷲座のアルタイルと琴座のベガが天の川を挟んで向かい合うように見えることから、その星を牽牛と織姫という一組の男女に例えた伝説がある。
その話の中ではその二人は毎年七月七日の夜にだけしか会えず、その晩に笹の葉へ短冊という紙に願いを書いて結んでおくと、その久方ぶりの逢瀬をしている二人が叶えてくれるのだそうだ」
ブックマンは事もなげに長い解説をすらすらと語ると、最後に子供の遊びと変わらぬ、としらりと言った。
しかしクロウリーはいたくキラキラした目ですごいである!と叫ぶ。そして胸で組んだ手を口元まで上げてため息を着き、
「ロマンティックであるなぁ……」
と呟いた。
その仕種を見ていたブックマンはきらりと目を光らせ、気に入ったならば関連した書物を貸すが、と提案する。
「是非お借りしたいである!!」
では、と歩き出したブックマンに、クロウリーはるんるんと付いていった。

「あんたたち…!いい加減にしなさァい!!!!!!!」
ラビとコムイがジェリーに渾身の平手打ちを喰らってクロウリーがいないのに気付いたのは、それから一時間が経ってからの事だった。

fin


後書き

なんか二人がバカ。(笑)
薔薇花葬もでしたが、この三角関係ギャグ大好きです。
……ブックマンは故意ですよ★(ブククロ・爆)



write2007/7/7
up2007/7/7

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