Story W

□きみならいいよ。
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近寄るんじゃねぇ、と苛立った声が廊下を近付いてくる。その声に付き纏うように、ユウ、ユウ、とからかうような声が続く。
角を曲がり姿を現したのは、黒髪を靡かせ早足を小走りに変える少年と、鮮やかな赤毛を揺らし跳ねながらそれを追う少年。
「暑苦しいから近付くんじゃねぇっつってんだろうが!」
「なーんでさユウー、遊ぼうぜー」
「ふざけんな!誰がこのクソ暑ィ中お前と居てぇんだよ!!」
叫びながら去っていく二人の目には、廊下を向かいから歩いてくる男性は映っていなかった。
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