StoryX

□そんな気分の日もあるなんて誰からともなく言葉が漏れた。
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「痛いくらいにやっちまうんさ」

ラビはぐりぐりとストローを弄りながら言った。
赤く染み付いたアレは何の処置も施されず放置されている。

「いっつもは痛く無いんだけど」

ぐしゃり溶け込むように机に突っ伏す。

「それ神経行ってるんですよ、どうにかした方が良いんじゃないですか」

アレンがその向かいでぼんやりと言った。
途切れない咀嚼に、ラビは目を遣る。

「アレンもどーにかした方が良いんじゃねぇ」

「僕は良いんですよ。
吐いてるわけでもないですし、体に害は無いですから」

かちゃり。
皿の山にまた一枚。
ラビは青白い顔色を隠すように腕枕を敷いた。

「…アレンにも、分かるさーぁ…?」

何か足りないんさ。

「だから」

良く分からないままに。

「………」

ラビとアレンは一瞬視線を交わし、それぞれへたり込んだり口を動かしたりに戻る。

「悩む事は、悪い事では無いであるよ」

クロウリーも居たらしく、流すような台詞が響いた。

「思考するのは人だという証である」

聞き流しているらしい。ラビとアレンは黙している。
余り進まない時間と会話に、クロウリーは時計を眺める。

「…私であれば暇だが…」

二人の少年は、漸くちらりと青年を見遣った。

「悩んでるんじゃないんです」

「周りと齟齬が有るだけさ」

「まだ此処だから許されますけどね」

「フツーの社会と認識が違うのは」

「分かってるんですよ」

「自分の事ぐらい、他の奴より」

「あんまり心配されても困るんです」

「オレはオレで誠心誠意生きてるんさ」

次々と並べられた言葉に、クロウリーははたはたと瞬きをする。
それに、と言葉は続く。
いや、開かれそうになった口は閉じられ、思考が続いた。

(クロウリーを見てると、自分自身)

(あるがままで良い気がするんさ)

クロウリーは二人の言葉にしゅんとしつつ、又時計を覗いている。
理由はある。
ラビとアレンが見る限り、社会に出て間もない彼が教団に馴染んでいたからだ。

(社会から遮蔽された環境っていう点なら教団も同様、そのせいなんかね。限定された自由での暮らし方が上手いっつーか。活度が衰えないのは謎なんよね。ま、あの城よりは確かに開放されてっけど。
性格は生来のものなんか、抑圧の反動なんか判断が難しいさ。どっちにしても可愛い行動は演技じゃ無いように見えるし関係ないか)

ラビはぼんやりと考えた。
そのうちに眠くなり瞼を下ろす。
アレンの重ねる皿の音が五月蝿い。

「寝るのであるか」

クロちゃんの声がする、とラビは夢の中で思った。
アレンはラビを覗き込む青年を見ながら、彼の純粋さと教団が互いを許容し合ったのかなとだけ思った。

「…悩む事は悪い事では無いのであるよ」

クロウリーは席に戻り拗ねる。

「悩んで騒いでも良いんである」

散々悩み慣れた私も居るのであるしと青年は呟いた。

fin


後書き

きょきょきょきょきょーせーしゅーりょーぉおぉぉおうッッッッ!!!!!!(汗)
もう何したいんだかサパーリ(゜゜*)な出来に感激だよ…V○| ̄|_
論旨を纏めてから書き始めることは大切だと思いました。(作文?)


write2007/11/11
up2007/11/27

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