StoryX

□白
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手渡された武器は果たして罪でしょうか。




《白》




ジジイがオレに手渡したのは小さなナイフだった。小さな手に見合う程の鋭利な武器。
武器とはつまり刺す為切る為に存在していて、手渡されたとはつまりオレがそれを扱えるべきだと云う事で。
それでオレはあっさりと其れを飲み下した。

雪の積もった道の上で真っ黒い服でステップを踏めば振り上げた槌がグシャリ醜悪な兵器を潰す。
今日は七台、ラッキーセブンか、と真っ赤に皹割れる寸前の指に息を吹き掛け彼が下りてくるのを待つ。
そうすれば、ほら、すたん、って、オレの横に華麗に着地して、クロちゃんが猫の様に薄く瞬きした。
「終わった?」
ちらり落ちた視線に立ち上がり赤い手を彼に回して黒い塊の出来上がり。
あのナイフのような冷たさに何処か安堵しながらオレは目を閉じた。




嗚呼。
手渡された武器は果たして罪でしょうか。
罪ならば又持ち主にも及ぶのでしょうか。
オレは果たして罪人であるのでしょうか。
罪人ならば裁かれてしまうのでしょうか。

出来るなら、オレは、そう、ナイフのような彼に。

赦される、事無く、捌かれたいの、です。




fin


後書き

クロちゃんは武器を体内に飼っている。
その冷たさにラビは昔を思い出すのでしょう。


write2007/12/25
up2007/12/27

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