StoryX

□You are sweet.
1ページ/1ページ

パーティーの喧騒を遠くに聞きながら、クロウリーは早々に床についた。クリスマスだからといって任務が無くなる訳でもない。
翌日の為に早めに抜け出し、心地の良い酒に浮されたまま風呂に入り歯を磨き服を着替えてベッドに潜る。
多分まだドンチャン騒ぎは続くのだろうが、今日は大丈夫。耳慣れない物音がしていてもぐっすりと眠れるだろう。
やや夢の扉を叩きながら、クロウリーはそっと瞼を閉じた。
―――バタン
その刹那にドアが開き、いつもの彼がやって来た。
酔っているのだろうか、覚束ない足取りで少年は緩く膨らんだ掛け布団の上に飛び乗る。
「くーろちゃん」
火照った頬を擦り寄せるように、クロウリーの布団を剥がす。
半分眠った頭を強制的に起こせば、顔に纏わり付く赤い髪。
クロウリーは、少しだけ、眉間に皺を寄せた。
「…ラビ」
へにゃりと笑ってごそごそと添い寝体勢に入った少年には溜息をついても無駄だろう。ベッドの大きさには余裕があるが、その行動には些か苦笑した。
「クロちゃんー、メリークリスマス!」
にこりにこりと笑いながら囁くようにラビが言う。
「ゴハン食べた?」
「食べたである」
「ケーキは?」
「一応」
「一応?」
「人に酔いそうだったので控え目に」
「今から食べる?」
別に作ってもらったンさ、という言葉が続く。
落ちてくる瞼に逆らいながら、クロウリーはいいや、と返す。
「もう、歯を磨いたので、良いである」
そこまで言って、ラビが寝ようとする体を抱きしめるのを感じながら、瞼は現に別れを告げる。
「…クロちゃん」
それを見届け、少年が一層強く彼を抱く。
そうすれば、寝たはずの彼が腕を動かし、向かい合う所まで互いの体を移動させチュ、と小さなリップ音を起こさせた。
「え…クロ、ちゃん?」
「ケーキより…ラビの、方が、甘いである…」
くぅ、と再び夢に戻りながら、クロウリーが笑えば、ラビは驚いた後ニコニコと目を閉じた。


《You are sweet.》

fin

後書き

どっちが攻めなんでしょうかねぇ
そしてまたベッドネタです(笑)
寝過ぎだよ!(笑)


write2007/12/27
up2007/12/31

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ