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□美
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「委員長、本日の欠席者、遅刻者リストです」


「…戻っていいよ」


「ハッ、失礼しました」



遅刻者が三人。いつも通り、後で咬み殺しておかなきゃね。そう思いながら視線を下ろしていると、ある一点でそれは止まることになった。



「…秦夕那、欠席」



なんだ、つまらない。
折角からかおうと思ってたのに。…そう、ただそれだけ。なのに、このもやもやした感情はなんだろう?会えば、分かるかな。思い立った瞬間、僕は草壁に電話をかけていた。



「暫く学校離れるからよろしくね」



全く、君は余計な手間をかけさせてくれる。












**


「あ゛う…」



人生初の、ズル休みをしてしまった…!うわぁ、ばれたら絶対ひばりさんに咬み殺されるよ…
そう思っていても、何故か全く学校に行く気にはなれなかった。何故か、ってひばりさんのせいに決まってるんだけど…思い出して、また顔が熱くなる。なんであんな事、したんだろう。というか私アレが初めて、で。ファーストキスは泣く子も黙る風紀委員長でした、ってなにそれ笑えない。



「ひばりさんの唇、…」



柔らかかった。
…変態か、私。いやでも、考えずにはいられない。ぷに、と自分の唇に触れてそしてまた枕に顔を埋め、奇声を発する。幸い両親は仕事で居ない。でも流石に明日は学校行かないと、だよね。うわぁひばりさんにどんな顔して会えば良いんだろ…ううう。嫌ではなかったんだけど、あれ、嫌じゃなかったのかな…前にもこんなこと考えてたような気がするんだけど。



「邪魔するよ」


「はいはいどうぞー」


「…」



ひばりさんに会いたいけど会いたくない。みたい、な。ドサドサ、と何かが置かれる音がして…ん?



「…っ!ひ、ひひひばひばば」


「…落ち着いたら?」



いつの間に、と辛うじて呟くと君返事してたじゃない、と言われた。この、無意識このやろう!というか何でひばりさんが画材を持って家に来るんですか。



「毎日描くんだよね?休みでも例外は許さないよ」


「嘘っ…」


「本当。さっさと準備して」



ひばりさんに急かされてとりあえずのろのろ準備を始める。あ、お茶出さないと。ひばりさん、全然普通だったし、私が意識し過ぎただけなのかなぁ…それとも、やっぱりひばりさんは初めてじゃなくて、ひばりさんにとっては特に意味がないことなのかな…そう思って、胸の辺りがきゅう、って締め付けられるみたいになった。



「ねぇ、そっちは階段…」


「へ?あ、」


「っ馬鹿!」



がくん、ひばりさんの忠告を理解する前に私は階段を踏み外していた。うわ、なんか最近、私落ち過ぎな気がするんですけど。案の定、私が落ちる寸前で彼に掴まれた、手。



「限度ってものがあるでしょ」


「すいませ、ん」



返事しておきながらも、やはり私はひばりさんの顔を見ることは出来なかった。
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