NOVEL
□AC207
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AC207年 Christmas――
先の大戦を終わらせた英雄は地球にいた。
遥か昔に問うた大事な言葉の返事を、今日こそは聞かせてもらう為だ。
「…ここか」
雑居ビルへ辿り着いた青年――ヒイロは、小さく呟いて建物を見上げる。
窓に人影を確認したので、必ず彼はいるはず。
ヒイロは口元を僅かに緩めて、ビルの中へと足を踏み入れた。
階段を静かに上がり、目的地である一室のドアに掛けられたプレートに目を細める。
「…マックスウェル事務所」
ドアを軽くノックすると、中から愛想の良い声が聞こえた。
――声はあまり変わっていないようだ。
ドアが開いて、久しぶりに見る茶色い頭が自分より低い位置にあるのに安堵しつつ――
「…あ、え…?」
大きな瞳を更に見開いてその場で固まってしまったデュオを、ヒイロは感慨深く見つめる。
「…び…っくりした…」
デュオは目の前に立つ訪問者をまじまじと見つめた。
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