NOVEL

□幸福日和
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「あ、れ…?」


デュオが目覚めた時、いつもは横にあるはずの温もりがなかった。
しかもBGMの如く聞こえてくるのは、ジュージューという油の撥ねる音。

どうやら珍しくヒイロが先に起きて、朝食を作ってくれているらしい。


「珍しい〜…」
「……おはよう」
「ん、旨いっ」

朝の挨拶代わりに、テーブルに用意されたサラダを一つまみ。
最近ハマっている胡麻ドレッシングも、丁度いい具合に絡まっている。
指に残ったドレッシングを舐め取ったデュオは、ボサボサ頭のまま笑った。


「顔くらい洗ってから来い」
「ハイハイ」

律儀にエプロンをつけたヒイロの後ろ姿をもう少し眺めていたかったけれど、ここは彼の言う通りにする。



二人が一緒に住み始めてから、いつの間にか定着してしまっていた。

朝も夜も、ご飯はデュオが作る事。
その他、家事全般の担当はデュオだ。

はっきり言ってしまうと、ヒイロの方が何でもそつなくこなしてしまう。

作る食事は料理人も舌を巻くほどだし、掃除をさせれば塵一つ落ちていない。
洗濯にいたっては、雑なデュオが目分量で入れる洗剤を、ヒイロは付属スプーンを物凄い勢いで睨みながら計っている。

訓練の賜物だと、ヒイロが豪語するだけの事はあるのだが。

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