NOVEL
□世界で一番長い3分間
1ページ/8ページ
――まただ…
こうやってヒイロが〈だんまりの神様〉に取り憑かれる所に遭遇するのは初めてではないデュオは、一応彼に気遣かって見えないように溜息を漏らした。
今を遡る事、2分16秒前。
何やら思い詰めたようなヒイロの咳ばらいによって、デュオはおしゃべりを不本意ながら中断させられた。
あれ?そう言えば、コイツから「話がある」と呼び出されたんだっけ?
…ああ、やっぱりもう少し遡ろう。
今から34分5秒前。
ヒイロから急に呼び出されたデュオは、彼に指定されたカフェにいた。
先に来ていたヒイロのいるテーブルに向かう途中、店員へ注文を告げたデュオは、薄く笑ってヒイロの向かいに座る。
「しっかし珍しいな〜お前の方から声かけて来るなんて!こりゃ明日は雨か?」
デュオなりの挨拶に、ヒイロは軽く口元を緩める。
デュオに想いを寄せている彼が、とんでもない爆弾発言を投下するなんて一体誰が想像出来ただろうか…
少なくともデュオには全く予想だに出来なかった事であり、またそれが自分に向かって落ちて来るなんて夢にも思っていなかったのである。