NOVEL
□我輩はヒイロ・ユイであるC
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「…まあ、そんな所も…気に入ってるんだけどな」
今、デュオは何と言った?
気に入ってる?
俺を?
デュオが?
風邪でまともに回らない頭が、何か別の言葉を聞き間違えて都合良く処理したのだろうか?
いや、違う。
いくら風邪をひいたからとて、デュオの言葉を聞き間違う筈がない。
続く言葉を待つ俺の視線に気付かないデュオは、一転して悲しげに瞳を伏せた。
長い睫毛が影を落としていて、より一層悲痛な表情にも見える。
「でも…アイツにとって…、オレって何なんだろうな」
手は休まる事なく俺を撫でていたが、時折、指先から震えすら伝わって来た。
「……半年だぜ?今まで、ちょっとした事でも連絡して来たのに…何で急に…連絡して来ねーわけ?」
怒りや悲しみが混ざり合ったような複雑な表情のデュオに、しかし俺は何も言ってやる事は出来ない。
「オレだけいっつも心配してさ…何か馬鹿みてーじゃん」
乾いた笑いを零したデュオ。
まさか、そんな風に想っていてくれていたとは…
言葉で慰められない代わりに、せめて態度で示したくて、デュオの頬へと首を伸ばす。
頬を舐めてやれば、驚いたような顔でこちらを見つめ返して来た。
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