NOVEL

□夢の続き *
3ページ/5ページ


「…?」

緩く抱きしめただけですぐに離れてゆくヒイロに、デュオは閉じていた目をゆっくりと開けた。

「あはは…」
「…何だ」

ベッドに押し倒された格好のまま、気が抜けたようにけらけら笑い始めたデュオをヒイロが訝しむ。
なかなか止まらないそれに、ヒイロは苛立ちを隠せないといった感じで眉を寄せた。

「いや、悪りぃ悪りぃ…」

目尻の涙を拭うデュオは、笑うたびに軋むらしい脇腹を押さえながら起き上がった。
そして、不機嫌な顔のヒイロが益々不機嫌になるような言葉を吐くのだ。

「オレこんなだからさ、お前、最後までヤッちまうのかと思ったよ」
「……」

笑えない冗談にヒイロは更に眉を寄せる事になるのだが、言った当人は相当つぼに入ったらしく、まだ肩を揺らしている。
ヒイロは、ただでさえデュオに触れたい衝動の正体が解らないのに、そうやって気持ちをからかわれているようで気分が悪い。


「お前が望むなら」
「は…?あ、え…?」

再び押し倒され、痛みに顔をしかめる前に首筋を舐め上げられる。
シーツをまくり上げて身体を押し付けて来るヒイロへ、デュオは慌てて彼の服を引っ張った。

「う…嘘、やめ…っ」

身体を這うヒイロの手を止めようと必死に抵抗するのだが、肩から押さえられているので上手く力が出せない。

「…っ!や、嫌だ…!」

素肌に触れたヒイロの熱い掌に、改めて怖くなって叫んだデュオを、ヒイロは冷めた瞳で見つめた。

「だったら挑発するような事を言うな」
「…っ!」

まだ名残惜し気にゆっくりと離れてゆくヒイロは、強張ったままのデュオの額に小さくキスを落とした。
たったそれだけの事でも、デュオは閉じていた瞳を益々固く閉じようとする。

.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ