NOVEL

□我輩はヒイロ・ユイであるD
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◇◇◇


カトルによる簡単な検査の後、着替えた俺はデュオの部屋へ向かった。
犬の時よりも幾分高くなった視界に、見慣れた廊下でも違和感を感じる。


「デュオ…」

ノックをして入ると、ベッドに横たわるデュオを確認した。
錯乱してしまったデュオを落ち着かせる為に、安定剤を投与せざるを得なかったのだろう。

憔悴し切ったデュオに歩み寄り、まだ汗や涙に濡れた頬を撫でた。


「ヒイ…ロ…」


感じ取った指の感触に意識を僅かに浮上させたデュオが呟いた名は、一体どちらのものなのだろうか。
状況からして、今の自分ではないと理解しながらも、俺はそっとデュオの唇に掠めるような口づけを落とした。

「…デュオ」

覚醒を促すように名を呼ぶと、身じろぎの後、ゆっくりと瞼が開かれた。
朧げに揺れるコバルトブルーを見つめ、再び名前を口にする。

「デュオ」
「ヒ、イ…ロ?…本物…?」
「ああ、俺だ」


不安げに伸ばされた両手を取り、そのまま引き寄せて腕の中へ閉じ込めた。


驚きを隠せない風に身を固くするデュオを強く抱きしめる。


「お前…何処行ってたんだよ…。いくら探しても見つからねーし、その上ヒイロまで…。…っ、ヒイロ!アイツは…!」
「デュオ」


抱きしめた腕を緩めてやると、横たわった為に頭一つ分低いデュオが見上げる形になる。
不安げに揺れる瞳を見つめていると、今までどれだけ心配させていたか胸が締め付けられる思いだった。


犬の頃に抱きしめられた事なら何度でもあったが、人間の姿で抱き合うのは初めてだ。
その華奢とも感じ取れるデュオに、これまでの経緯を全て告白する事を決意する。


「謝らなくてはならない事がある」
「…え?」
「だが、これだけは先に言わせてくれ」


向かい合うデュオの頬を再びゆっくり撫で、薄く開かれた唇に自身のそれを重ねながら囁いた。


「愛している」



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