NOVEL

□世界で一番長い3分間
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デュオがヒイロの指示通り(?)呼び出された店に着き、座ってから約1分。

ヒイロの頭の中では、普段の彼からは誰も想像つかないような妄想が展開されていた。



――連絡して、呼び出して、10分も経たない内にデュオは来た。
この店からデュオの住むアパートまでは、徒歩で20分弱。決して近くはない。

走って来たのか?
いや、デュオの呼吸に乱れは見られない。
(ちなみにデュオは、本当にまたまた近くを歩いていただけだった)

バイクか?タクシー?バス?
いや、デュオはバイクを持っていないし、タクシーやバスで余計な金は使わないだろう。

第一そんな金を使うくらいなら、月末になると決まって「アパートの家賃が払えない」などと言うはずがない。
あのアパートは築数もさることながら、もはや徒歩圏内でないにも関わらず「50分も歩けば駅に着く」というのが売りの、若者なら必ず避けて通る粗悪物件。
歩けば床がミシミシと音を立てるオプション付き…

そんな悪条件がフル装備のアパートの家賃ですら払えないのだから、デュオが普段どんな生活をしているか容易に想像がつく。
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