NOVEL

□世界で一番長い3分間
3ページ/8ページ

きっと、その日暮らしのような生活に違いない。
いつ入るとも解らない仕事の連絡を待ちながら、深夜の街をあてもなくブラブラと歩き回っているのだろう。
この分なら、持って来た仕事の依頼も任せられそうだ。
今のデュオには良い暇潰しになるだろう。少なくともまともな収入を得られる。
この街で得る仕事は、おそらく報酬に見合わない物ばかりとみた。

なぜなら、デュオの住むこの街は、決して治安が良いとは言い難いからだ。
戦争の傷跡も生々しく、未だ廃墟と化した建物も目につく。

こんな街に
デュオは戦後、住んでいるのだ。

たった一人で――



「っ…」
「ヒイロ…?どうした?」

思わず唇を噛み締めたヒイロに、デュオは「もしかして、オレが飲みもしないコーヒー頼んだ事に腹立ててんのかな」と、氷が溶けて分離してしまっているコーヒー(もどき)のストローを慌てて口にくわえた。

もちろん、そんな事を気にしてヒイロが苦虫を噛んだような表情になったはずもなく。


――俺の住んでいる街は、復興も進み、今では緑豊かな近代都市だ。
確かに地球を摸したコロニーに過ぎない感は拭えない。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ