NOVEL
□我慢! *
3ページ/9ページ
「たっらいまぁ〜」
玄関が急に騒がしくなる。
何事かと思ったヒイロが行くと、そこには真っ赤な顔をしたデュオがフラフラになりながらスニーカーを脱いでいた。
泥酔しているので、脱ぐというより最早スニーカーと戯れているとしか見えない。
出迎えたヒイロの姿を確認すると、上機嫌のデュオはへらへらと笑いながら抱き着いてきた。
「…!!」
抱き着かれたヒイロはたまったもんじゃない。
好意を寄せている相手が、酔っているとはいえ自ら身体を密着させて来るのだから。
しかも。
「ベッドまれ連れてっれくれぇ〜」
そんな言葉をそんな風に呂律の回らない舌で言われるのだから、誘っているようにしか捉えられない。
いや、今のヒイロには、そうとしか解釈出来ない。
「なぁ〜、ヒイロぉ〜早くぅ」
ヒイロの首に腕を巻き付けて、更に身体を擦り寄せて来るデュオ。
お酒の匂いと混ざって、彼の独特な甘さを滲ませた香りがして、ヒイロは頭がパニックに陥り…、恐る恐るデュオの背中を抱きしめた。
.