NOVEL

□我輩はヒイロ・ユイであるA
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俺がデュオを想っていると、知っているからこその人選ではないのか?

俺には好都合だが、しかしカトルに弱みを握られているようで気味が悪い。


「ヒ〜イロっ」

庭の木陰で寝そべり、考えに更けていた俺の顔を覗き込むデュオ。
ノースリーブから延びたデュオの腕が、暖かい陽射しを浴びて健康的だ。
手には濃紺のソフトボールが握られていて、それを俺の目の前でヒラヒラと振った。

「遊ぶ?」

ニコニコと笑っているデュオに俺は尻尾をちぎれんばかりに振った。
それを見て気を良くしたデュオは、しかし俺が寝ている傍にそのまま座り込んでしまった。

「…?」

さっきまでの楽しそうな表情から一転、瞳を寂しく細めたデュオに見つめられる。
小枝の影がデュオの頬や口元に写り、余計に表情が暗く見えた。

「アイツもさ〜…お前くらい分かりやすかったらいいのにな…」

五月の風がデュオの髪の間を通り抜ける。
爽やかな風に靡く俺の毛並みを整え、デュオは深くため息を吐きながら遠くに視線を移してしまった。

「いっつも無愛想でさ〜」

言いながらデュオは、庭の遠くを見つめたままだ。

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