NOVEL

□我輩はヒイロ・ユイであるA
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「カトルは親しいっつってるけどさ〜。実際はそんな事ねーっつーの」

どう答えて良いか分からず(といっても人間の言葉は話せないが)、途方に暮れてしまう。
俺は、せめて話を聞いていると分かるように静かに鼻を鳴らした。

「確かに連絡は取り合ってっけど…頻繁に会うわけでも、何か話すわけでもねーんだぜ?」

まるで犬(俺)に聞かせるようにして話すデュオは、漸く視線を合わせてきた。
哀しそうな、淋しそうな目で見つめられると、どうして良いのか分からない。

「オレはさ…もっと会って、もっと話がしたい」

デュオの口からはっきり聞こえた俺への望み。
嬉しくて、今すぐ抱きしめたい衝動を抑えるのに必死だった。

「それから…」

――それから?


「デュオ!」
「おぅ、カトル」

チッ!
何て間の悪い男だ。
いや、わざとなのか?
カトルは庭に並んで座っている俺達に後ろから近付き、事もあろうか間に割り込んで来た。

「『ヒイロ』とひなたぼっこ?」
「ああ…まあな。愚痴聞いてもらってた。愚痴っつーか悪口かな」

渇いた笑みを浮かべるデュオに、カトルは一瞬だけ呆けたような顔になったが、すぐにいつもの含み笑いに戻った。

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