NOVEL

□IF I GIVE YOU MY NUMBER
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リリーナの婚約パーティーのような、こういった大きな催しがなければ再びいつ会えるか分からないヒイロは、意を決して話しかけようと身を乗り出した。

だが――

「デュ…」
「お飲みものは如何ですか?」
「あっ、サンキュー」


トップエージェントのヒイロ・ユイですらも隙を与えないボーイの、見事なまでの接客ぶりに脱帽しつつ。
事もあろうか一般人の気配を察知する事が出来なかった己に舌打ちしたヒイロは、再びデュオに歩み寄った。

とりあえず出遅れてしまった自分の不甲斐なさは棚に上げておく。

愛しいデュオにいとも簡単に話しかけるボーイの腕ごと切り落としたくなったヒイロだが、一応ここはリリーナの手前も考えて思い留まった。

これはかなり進歩したといえよう。


傍で様子を伺っている元同僚らは、言葉に出す事はないが同じ事を考えていた。


(何て不器用な…)

例えそれが彼の特徴であり、最大の魅力(?)であったとしても、今はただの障害にしかなりえない。

心優しい三人の元同僚は、お互い目配せした。


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