NOVEL
□我輩はヒイロ・ユイであるB *
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「デュオって…何かとヒイロと『ヒイロ』を比べるんだね」
「…え?」
俺とデュオのやり取り(?)を見ていたカトルが、どこか冷ややかとも取れる物言いで話しかけてきた。
「べ…別に〜?だってコイツ、同じ名前だし!」
「そう?」
「そんな事よりさ〜、最近ヒイロから連絡あったか?もう三ヶ月も連絡ねーんだけど」
二人(一匹?)が同時にギクリと顔を引き攣らせる。
「いいえ…。も、元々、あんまり連絡を取らないから…前も言ったよね?」
「あ〜…そうだっけ。いやさ〜、こっちから連絡入れても、何の音沙汰もねーんだよなぁ」
そりゃ、連絡出来るはずがない。
今の俺には人間の言葉を話す事はおろか、受話器を取り上げる事すら出来ないのだから。
「何処か、遠い所に行ったんじゃないの?任務とかで…」
「いや、それでもアイツなら連絡してくるし…そんな話、オレ聞いてねーもん」
首を傾げるデュオに、カトルは厭な笑みを浮かべた。
こいつは…よく考えている事が顔に出る奴だと思う。
「淋しいんじゃないの、デュオ?」
「えっ?!なんっ…何で?!」
「ん〜何となく、そう思っただけですよ?」
顔を真っ赤に染めたデュオ。
もしや…
もしや、そうなのか?
俺に会えなくて、淋しい思いをしているのか?
「べ…別に〜!アイツがいなくても、別に淋しくなんかねーし!別に連絡つっても、何か話す訳でもねーし!別に…」
「デュオ…さっきから『別に』ばっかり言ってるよ?」
「べ…つに…!」
明らかに動揺した様子のデュオがおかしく、カトルがクスクスと声を漏らして笑い始めた。
デュオも益々真っ赤になって、俯いてしまっている。
「ウ〜…」
あまりデュオがからかわれている姿は見ていたくない俺が威嚇する声を出してやると、カトルはまた笑ってヒラヒラと俺を宥めるように手を振った。
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