NOVEL

□我輩はヒイロ・ユイであるB *
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「ヒイロ!お前イイ奴だ〜!」

デュオは、どうやら俺に庇ってもらえた事が嬉しかったらしく、急に、苦しいくらい俺を抱きしめて来た。
首に纏わり付くデュオが心地良い。

「意地悪な事ばっか言うカトルなんか、もう知らねー!ヒイロ、行こうぜ!」
「デュオ!」
「べ〜!!」

子供のようなデュオは、舌を出してカトルに別れを告げると、俺を連れて執務室を出ようとした。

「ふふ…可愛いなぁ、デュオって」


――可愛い?
デュオを、カトルが可愛いだと?!


確かにデュオは可愛い。
同じ男とは思えない時があるほど少女のような風貌だし、戦後、あまり背が伸びなかったせいもあり、未だに実年齢より幼く見える。

だが――

あのカトルが「可愛い」とは…
一体どういうつもりだ?




「ヒイロ〜、起きろよ〜」

ハッ!
俺の毛並みを整えるように優しくブラッシングされ、気持ち良さからウトウトとし始めていたようだ。
唾液が口の端から零れ落ちそうになっているのに気付いた。

「寝ちゃったら、こっちの背中ブラッシング出来ねーだろ〜」

慌てて起き上がり、デュオのし易いように体を向けてやる。


「いい子、いい子♪お前、言葉解るみたいだよな」

再びギクリ。
時折デュオは、俺が人間のヒイロだとバレているのではないかと思うような言葉を口にする事がある。

やけに俺と「ヒイロ」を比べる所もしかり。
犬に言い聞かせていると見せ掛けて、俺に言っているのではないかとさえ思えてくる。

――だとすれば…。

デュオは何故この依頼を引き受けた?
例え引き受けた後に分かった事だとしても、何故途中で放棄したり、俺を嘲笑わない?

俺に直接言えない事を、見破っていると告げない事でごまかして吐き出しているのではないか?

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