ミゼット少年少女

□scene.16
2ページ/9ページ

「相変わらず“策”が好きな男だな、彼は」
『相変わらず?』

ははっ、と笑うスピットに質問する。てっきりイッキの戦を見るのは初めてだと思っていた彼は以前イッキと仏茶君の戦を間近で観戦したらしい。そういえばリンゴがそんなこと言ってたような、と記憶を模索する自分の横で鵺が呟いた。

「あいつが“空”に最も近い男…、ミナミイッキ…か」

戦のセンスと才能だけなら板東はイッキの敵ではないからシムカさんが入れ込むのもわかる、と鵺が笑った。スピットが言うには他人に対しての彼の評価が高いのは珍しいらしい。そんな鵺に促されて彼らのジャンケンに注意を注ぐ。

一見何の変哲もないただの出し合い。しかし目を凝らせば型を出す寸前、イッキは板東の型を確認してから自分の型を入れ替えている。所謂、

「あと出しだッッ!!!!」「なるほど!!!」

板東の常人離れした腕力を助けている彼の手首の筋力が仇になったらしい。握力の反射が遅い彼の出す型をイッキは動体視力と反射神経で即座に見破り、勝てる型を出しているそうだ。なるほど、それならばありえない程勝ち続けている理由もわかる。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ