ミゼット少年少女

□scene.16
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「あっちむいてホイッ!!!!」

渾身の力とA・Tで加速した体重を乗せたイッキの拳が板東ミツルの頬にめり込んだ。


scene.16


始まりはイッキのふざけた提案。自分と板東の因縁が生まれたのはパンチングマシーン、その要領でパンチ力対決を行わないか。よもや四聖獣が逃げるわけないだろう、というイッキの挑発に乗った板東はジャンケンに負ける度に殴られている。

殴った隙に瞬時に板東との間合いを詰めたイッキはジャンケンの掛け声をかける。反射的に手を出した板東はチョキ、イッキはパー。勝った板東はあっち向いて…、と言いながら得意のパンチを繰り出すも、それは避けたイッキに当たることなく轟音を響かせてキューブの壁へと沈む。

「ヒキョーだぞキサマッ!!このっ、ちょこまかとっ…!!!」
「誰もよけたらダメなんて言ってねーし」

焦りと怒りを剥き出しにした板東が意見するもイッキは軽やかにそれを流す。壮絶な威力を生み出すまでのタメが大きく、加えて板東は律儀にルールを守っているためあちこち走り回るイッキにはなかなか命中しない。キューブ内では板東による壁のへこみがひたすら増えていく。
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