拍手@あまやかす話・ふたきり


骸とクロームが離れてくれない。どんだけかって言うと、二人が布団の上からオレの身体にのっかって、ベッドから出れない。せっかくのお休みなのに。

「二人とも、何してんの?」

どうにか起きあがって二人に問う。骸のオッドアイがにこりと笑った。クロームは、よくわかんない顔でオレを見てくる。

「嫌がらせです」

骸は確信犯か。んで、クロームはそれに便乗――というか、分かってるのかから疑問。

「思い当たる節は?」
「あるよ、もちろん」

抗争とか抗争とか抗争とか(こればっかだ)で、一ヶ月近く屋敷に戻れなかった。勿論、危ないからオレの可愛い霧の守護者達はお留守番。
連絡はこまめに入れてたんだけど、やっぱり寂しかったのかな?

「ごめんな、もっと早く終わると思ってたんだけど」
「貴方は計画性がないんです」
「お前に言われると痛いなあ」
「ぼす、おそいの」
「反省してるって」

ぷく、と珍しく頬を膨らませて拗ねるクロームをそっと撫でる。すると骸がじっとこっちを睨むから、ついでに骸も撫でてやる。骸は、オレの手を嫌がらなかった。

「だから、今日は今まで待たされた分ボンゴレに仕返しをして差し上げます」
「…………うーん」

遠慮したいところだけど、恐らく反抗は却下されるだろう。なら、こっちから仕掛けた方が手っとり早いか。
要するに、骸とクロームは甘えたがってる。そこらへんは、オレでも分かった。

「遠慮は無用ですよボンゴレ」
「やさしくしてあげるね、ぼす!」

クローム、それどこで覚えてきたの。ツッコミを入れる前に、子供達はオレの懐に飛び込んで、抱きついてきた。反射で受け止めて、ぎゅうと抱きしめる。

「今日は離れませんからね」
「ぼすにひっつくの!」

じっと見上げてくる二人の瞳に、オレは大層弱い。これはもう、白旗を揚げるしかない。
いいや、今日は一ヶ月ぶりの休みだ。嫌になるくらい甘やかしてしまおう。

「よし、じゃあ三人でおやつ作ろうか。ハルと京子ちゃんがこの間、簡単なガトーショコラの作り方を教えてくれたんだ」

二人を抱いてベッドから出る。おやつより先に朝ご飯だけど、この調子じゃホットケーキになるかもなあ。
それでもいいかと思っちゃうのは、骸とクロームがあんまり幸せそうに笑ってくれるから。


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リクエストいただきました甘えた話です。いつもは沢田さんが甘やかしますが、たまにはべったり甘えてみたいものです。


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