□雨のち晴れ
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「おねーさん、お茶しない?」


なんだこいつ。ナンパかよ。何この道着。だっさ。


「あ、これ?これさー制服なんだよね。かっこ悪いっしょ?神龍寺ってとこなんだけどさーおねーさん知ってる?」


見てるのばれた。つーか知らねーよ。あたしの出身神奈川じゃねーし。つーか付いてくんな。青臭いガキが社会人にナンパなんかすんじゃねーよ。


「ねーおねーさん今日仕事だったの?土曜なのに大変だね〜」


うっせーよ。あんたは土曜だってのになんで制服なんだよ。あたしは休日出勤させられてイライラしてんだよ。早く帰りたいの。さっさとどっか行け。


「俺はさー部活だったんだよね〜ま、ダルくて途中で抜けてきたんだけど」


なんだってこいつはあたしの心を読むんだ。つーかこんな髪型のくせに部活なんかやってんだ。意外。つーか最後までやれよ。


「何やってると思う?」


野球ではないな。つーか運動部はありえないだろ。軽音部とか?


「正解はーアメフトでした。おねーさんアメフト観たりする?」


うっわー運動部だよ。アメフト?マイナーじゃん。興味ないし。つーかこいつ会話する気あんの?


「はー…おねーさん頑固だね」


あんたもね。そこまでしてあたしと寝たいか。誰がこんなガキと。


「おねーさんが今何考えてるか当ててあげよっか?『うざい邪魔早く消えろ』?」


大正解だよ。分かったらさっさと消えてくれ。このままだと家の方角ばれちゃう。


「ちっ」


は?今こいつ舌打ちした?むっかー年下の癖によー!舌打ちしたいのはこっちだよ!まじうぜー。あーあ消えてくんねーかなまじで。


「あんたさぁ、そんなんだから男できねえんじゃねーの?せっかく俺が声掛けてやってんだからちったぁ可愛いげ見せろよ」


うっわー本音出たよ。何こいつ。二重人格?こんな奴にあたしの恋愛のことで口だしされたくねー。


「ちっ、どけやブス」


いったぁ!ぶつかってくんなよ!ブスと思ってんならナンパなんかしてくるな!!あー腹立つー!しかも去っていきそうだし。


「ちょっとあんた!ぶつかったお詫びにお茶ぐらい奢りなさいよ!」

「…それより、あんたの部屋で茶でも飲もうぜ」


にやりと笑ったあいつの顔に少し心臓が跳ねながら、部屋を掃除したばっかりで良かったと心底思った。
たまにはこんな経験も悪くない。
OLは潤いが欲しいのだ。






いつの日にか虹を渡ろう




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