novel

□舞踏会
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「ニシェル、舞踏会に来て躍らないなんていけないよ」
「私は…誰とも躍りませんわ。躍るだけが舞踏会ではありませんもの」
 そっと目を伏せる。
「ならば、君にとっての舞踏会とはなんだい?」
「……」
 口を閉ざしたまま、ニシェルは月を仰ぐ。
 今宵の月は、あの時のように明るい。
 ぼんやりと、やわらかく、ニシェルを照らす。
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