誕生日

□20101010 うずまき ナルト
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オレってさ、誕生日が嫌いだったんだってばよ。


みんな オレの誕生日の日には花を持って 泣きながらあるいてるしさ…。


小さい頃の記憶なんて、全然無いけどよ。


火影のじーちゃんは気にすんなってオレの頭撫でるけどさ…。

誕生日なんて

いらねぇ…



ずっと そう 思ってたんだってばよ…







「なんでみんなアイツの事、嫌ってんだ?」



始めてみたのは 親父にある施設に連れていかれた時だった。
つまんねぇって目で窓の外をみてたら、中庭っぽい所に生えてる木に作られたブランコに跨がってたんだよな。


オレも検査だなんだかんだと頭に機械付けられたりしてよ。

大半は寝てたし、
さっさと終わらせて、とっとと帰りたかったから、聞かれた事に、適当に答えてたんだよな。

「あ、これ知ってるぜ。」

「どうして知ってるんだい?」
「…本で見たからよ。」

「…本?」

「部屋にある本は全部見たぜ。」



部屋から出ると、中庭をみた。
まだ居やがる…


「あ〜ぁ…つまんねぇな…」

「中庭に行くか?」

「んぁ?」
声をかけられ、振り返ると…

「シカクさんになら、オレから言っておくから…」


「…うん…アイツ、誰?」

中庭を指差す。


ブランコには 誰も乗って居なかった。




「オレってば、アッタマ悪ィからよ。

昨日の記憶が無かったり、
朝の記憶が無かったりなんてしょっちゅうあってさ。」


そいつは、会う度そう言い訳をしてた。


「よぉ…」


今度は、『検査』ってのは無くて
『カウンセリング』
めんどくせーから、適当に答えて、トイレに行く振りして逃げ出した。



『部屋』を捜し出して、会いに行くと
驚いてた。

…だろうな。

実際、初対面だからな。



「この場所が好きなのかわかんねーけどさ。
このブランコに、いつの間にかすわってんだってばよ。」


二人で中庭のブランコに乗る。
「オレ、うずまきナルト。よろしくってばよ


「…さっき、聞いたぜ…」

ただ、ブランコを漕いでいた。
…それだけだった。



「ナルト。部屋から勝手に出るなと、何度言ったら判るんだ?」

二人で声のした方を見上げた。

「判ってるってばよ…」

足元に座ってるナルトの身体が強張る。




「…見張りの癖に、ガキにほだされてんじゃねーぞ。」

「…ああ、すまない。」

「…部屋に戻るぞ。来いっ、ナルト。」

渋々ブランコを降り、



「…部屋で遊ぶなら、いいのかよ?」



シカマルって奴のオッチャンが、話して聞かしてくれたのは、里の英雄の話。
シカマルは何度も聞いたと、ソッポ向いて そいつに抱っこされながら足をぶらぶらさせてた。


里を守って死んだ英雄…

何だか、カッコイイってばよ。







数日後


包帯でぐるぐる巻きになったナルトがブランコに跨がっていた。


理由を聞いても、黙って俯いて…涙ぐむ…


こんな時、アイツだったら…

ナルトに近付き、頭をギュッと抱いた。

「ヒック…ウゥ…」


「…泣くなよ…」



なんで こいつ こんな施設に居るのかな…

ひとりぼっちでよ…




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