BOOK3

□03.近くて遠い3センチ
1ページ/1ページ


手を伸ばせば届く距離。

今すぐ君の肩を、手を、君の体を引き止めて、
抱き締めて、そのままでいれたのなら、どれだけいいか。

「オルトレイン隊長、アレクセイ騎士団長からの手紙です。
緊急につき、早く目を通すように、との事です。」
「わかった、そこに置いといてくれ。」

君を抱き締められたら、

愛してると言えたら、

「オルトレイン隊長?」

偽りのこの命で

「すまない、少し疲れているみたいだが、あまり心配しなくていい。大丈夫だ。」

君にこの手で触れることが許されるのならば、





これほど幸せなことは無いというのに。






「隊長、あまり無理をなさらないで下さい。」
「しかし………」
「お休みください、オルトレイン隊長」

彼女の手が肩に触れる。
とても暖かな手にドキリとし、無いはずの心臓が高鳴る。

「簡単な仕事であれば私がお手伝いしますので、オルトレイン隊長は少し休養なさって下さい。
隊を導く人は、貴方以外いないのだから。」

貴方無しでは、シュヴァーン隊ではありません。
と付け足し、タオルケットを持ってくる。
美しく長いブロンドが優しく微笑む彼女を引き立てる。
まるで民を優しく包む聖母や女神のように、彼女は私にタオルケットをかけた。

「オルトレイン隊長」
「なんだ?」
「お休みなさいませ」
「……………あぁ」





近くて遠い3センチ




自分から触れるのは怖いのに、
君はこんなにもあっさりと私を捕らえる。

私はいつ、君を捕らえられるだろうか?

この、偽りの命で。

――――――――
シリアス気味ですいません!大好きなシュヴァーン夢を書けて幸せです!
お粗末様でした…………!!!
20090416 師走13


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ