BOOK5
□03.プラトニック・ラブだと思っていた
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「お前、オレのことどう思う?」
「そうね。あなたの性根は嫌いじゃないわ」
「それは好きって意味か?」
「…他に意味合いがなければそうなるわね」
我ながら根性が曲がっているというか、どうも言い方がハッキリしなくて好きじゃない。
でもなんだか軽々しく『好き』なんて言ってはいけないような気がして、ついおかしな言葉を選んでしまった。わたしの真意はどうなのか、深く考えないまま。
「歯切れが悪いな。ハッキリ言ったらどうなんだ」
「生まれつき、噛み合わせがよくないのよ」
ユーリはひねくれ者だけど人情に厚いし、その人間性は尊敬する。
1人の人間としてを慕う気持ちを恋愛に変えたら品位が下がるような気がして、とてもいやだった。
「…きっとあなたに恋はしても、愛することはないと思うわ」
「え?」
「そういうの、わたしはよくわからないし」
「だったらオレが教えてやろうか?」
「――人に教わるものじゃないでしょ」
急に身を寄せてきたユーリがすこし驚いて、距離を置いた。
この胸の高鳴りは恐怖ではない。むしろ反対のもの。わかってはいるけれど、ここから先に踏み出す勇気が持てなかった。
「そうだな…」
何かをためらうわたしの手をとるユーリ。わたしは黙ってその温もりに従うことができた。
わたしが聞きたいことを今、言ってくれるような気がしたから。
「確かめあうもの、だったか」
(Tribute for レヴェマーチ!)