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□第二話 『六軒島』
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第二話 『六軒島』

それから暫く戦人と他愛もない会話を楽しんでいると、六軒島への入口が直ぐ其処まで見えて来た。

船は徐々に速度を弛め入口へと着く。やっと六軒島に着いた一行は背伸びしたり荷物を背負ったりと色々だ。

コンクリートの地面に降り立ち、潮風をこの身に受ける。

さっきの気持ち悪さなんか吹きどんだよ、本当。


「うー!名無しさん行こう!うーうー!」


「ちょっと真理亞っ、荷物忘れてるわよ!はいリュックサック。…あら名無しさんちゃん、久しぶりね。元気だった?」

はしゃぐ真理亞ちゃんをたしなめながら挨拶をした楼座さん。

『はい、この通りですよ!』

ガッツポーズをして言うと、ふふ、と笑われた。

「この通りですよー!!うー」

真理亞ちゃんも私の真似をして、それを見た楼座さんが微笑ましく笑んだ。

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和んだ空気が流れている間、後ろから留弗夫さんと霧江さんがやって来た。

「名無しさんちゃん、随分でっかくなったなあ!見違えたぜ!」


「あら貴方、名無しさんちゃんの胸ばかり凝視して。ちょっと説教が必要かしら?」

霧江さんの言葉を聞いて咄嗟に胸をバッと両手で隠す。

ああ、顔が熱いや。

『留弗夫さんの変態…』

仕返しと思って顔が熱いまま留弗夫さんに反抗する。

「おおう、結構グサッとくるぜ…」

胸を抑えよろめく留弗夫さん。


こういうおどけた所、留弗夫さんらしいや。

「くす、名無しさんちゃん。留弗夫さんが何かやったら遠慮なく言うのよ?じゃないと懲りずに来るからね。さあ貴方、行くわよ」


霧江さんが深みのある笑顔で忠告してから留弗夫さんの腕をとり、屋敷へと続く砂利道へ消えた。

多分、とても強く握ってるんだろうなあ。腕。服に皺が沢山よってたから…

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それから霧江さんは怒らせてはいけない人リストに追加してから、私も砂利道へ進んで行く。

周りには誰も居ない。先に行ったのだろう、今頃は薔薇庭園でも見て感嘆の声をあげているんだろうな。


ざく、と砂利を踏み、空を見上げると紅い鳥居が目についた。

白いお札が周りに巻き付いていて、少し不気味な雰囲気を醸し出している。

そのまま上を向きながら歩いていると何かを踏みつけ転びそうになった。


危ないな!と思いながら目線を下に向けると、

足元には一つの小さな純白のガラス玉が落ちていた。
何を思ったのか光を反射しきらきら光るそれを屈んで拾い、胸ポケットへと落とした。


まあ、綺麗だしとっておこう。

そう、思って。


そして前に顔を上げ小走りで砂利道へと走って行く。

胸ポケットの中で白いガラス玉が揺れ、妖しく光った。


第二話 『六軒島』


END
 

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