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□第三話 『白い少女』
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第三話 『白い少女』


やがて長かった砂利道も終わり、視界が明け離れたと同時にぶあっ…と薔薇の匂いに全身が包まれ、目を閉じた。

余韻に浸っていると、背後に気配を感じ勢い良く振り向くと、


後ろに、


純白のドレスを着た女の子が立っていた。


『あなたっ、誰…!?』

私は大きく目を見開き、尋ねる。


「………今は、何も語らないわ。だけど安心して、私は貴方の、味方。」

鈴が鳴る様な声。これまた純白の瞳で見られると声出せないんだけど…


「私の名前は、ガブリエッラ。今は何処にも所属してない、無銘の

魔女よ。」


………え?

魔女?魔女って、あの魔法を使う魔女なの?

『ええ!?』


余りにびっくりして声を上げてしまった。


「まあその表情からだと信じてないわね……まあ良いわ、貴方…名無しさんよね。」

『私の名前、何で…』

「まあ色々あってね。魔法よ魔法。」

随分大雑把な魔女だなオイ。


「名無しさん、白い珠、持ってるでしょう?それにね、私封印されていたのよ。」

『ふう、いん…』

「そ、封印。そしてその珠を名無しさん、貴方が拾ってくれたのよ。だから名無しさんと言う主人が出来、私はこうしてこの島に顕現してる訳。分かった?」

『信じられないけど少しは』

「…まあ人間の貴方には判りがたい事よね。さあ、私はもう行くわ。時間が無い。名無しさん、またいつかね。」

そう言うと一際強い風がガブリエッラと私の間に吹き、余りの風の強さに目を瞑る。

風がおさまり再び目を開けると、

ガブリエッラは、其処には居なかった。


疑問が胸に残るが、胸ポケットの純白の珠を一瞥してから、名無しさんは屋敷へと踵を返し帰っていった。


「(まだ、貴方は何も知らなくて良いわ)」


第三話 『白い少女』

END
 

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