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□第六話 「ゲーム説明」
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第六話 『ゲーム説明』


とんとん

小さめだが確かに聞こえるノック音に金蔵は微睡んでいた意識を無理に覚ました。

「…誰だ。」


『名無しさんです、お爺様。』

「名無しさんか…良い、入れ。」


ガチ、と金蔵の部屋のオートロックが解除される。


それを確認してから、名無しさんは丁寧な仕草で大きな闔を開ける。


ドアノブを握る時、蠍の刻印が眼に入るが無視した。

名無しさんが書斎へ入り闔が閉まりきった時、またガチ、とオートロックが閉まる音が響く。



「名無しさん。どうした。」


金蔵は威厳ある立ち振舞いで部屋の奥にある椅子に腰掛け問う。


『…はい、お爺様…嘉音君にベアトリーチェの事で何か言いましたか?』


「ああ勿論。家具共には全員に言っておる。もうすぐだしな。ふははは…、嘉音が何かやらかしたか?」


『いいえ、まったく。』


「ふむ、そうか。」


…やっぱり。お爺様が元凶か…


短い会話を終え、名無しさんは自分の考えに確信を持つ。


「聞きたい事はそれだけか?すまんが、今日だけは忙しい。また日にちを改めて話しあおうぞ。」


『…あ、はい。それでは…



ドンドンドン!!!!



な……何!?』


部屋から出ようと闔のドアノブに手を掛けた瞬間、ドアが凄まじい音をたて震えた。



「…ふ…さては名無しさん、まだ夕食の席についてなかっただろう?私がな、…源次に頼んだのだ。



ゲームの説明をするように。」


『ゲー、ム…ですか…?』


私が思い浮かぶゲームは、オセロ、チェス、人生ゲーム………

どれもこれも、楽しい物ばかりだ。

じゃあ何で、外で闔を叩く人達はこんなに必死に?

お爺様の話からするとそのゲームについての事だろう。



すると闔の向こう側から微かに声が聞こえた。


「お父さんッ!!!何ですかゲームとはッ?!ふざけています!!!!」

これは…蔵臼さん。

「出てきて説明して下さいお父様あッ!!!」

少し叫び気味の声は絵羽さん。


「おい爺さん!!!ふざけんなよ…何をやろうってんだよ!!!」

驚いた、戦人まで居る。



「くくく…全員、集まっているようだな……そうだ名無しさん。今からお前にもゲームの説明をしておこう。」


皆があんなにも必死になるゲーム…

一体どういうゲームなんだろう。


歌う様にスラスラと金蔵はゲームの説明を話す。

まるで其れは、機械が録音した音楽をただ単調に、流しているだけの脈絡の無い話し方だった。


「…今宵、この右代宮金蔵が用意したゲームに皆様は参加していただきます。


…なァに、大したルールではない。そう身構えるな、名無しさんよ。


…この島の滞在期間中、貴方達右代宮家・それに仕える家具達は、



命を狙われます。



それを回避し、生き延びた者には、この右代宮家の全てを手に入れる事が出来ます。


家具も無論、当主になる事が出来ます。



ただ、命を狙う敵は


人間では無い


ので、どうかお気をつけ下さい。

尚、時間制限により一定時間が過ぎると、一人ずつ殺していきますのでどうかご注意を。


これを回避するには、皆様ご存知でしょうが、我が右代宮家顧問錬金術師…ベアトリーチェの肖像画の前にある碑文を解くか、



…命を狙う者共を殺すか、


どちらかになります。


万一六軒島から出ると、強制排除になります。

それではこの二日間、どうか御無事に…。」


お爺様が喋り終わり、口角を吊り上げながら、私の反応を待っている。


「どうだ。…とっても楽しそうなゲームであろう」


『は…殺、す…?…本気ですか、お爺様…ッ!』


「本気?…くかかかッ、本気だ本気!!!!幸いな事に、今宵は我らが同胞もやる気だしなァ!!!」


同胞。なにそれ。まさか、私達を殺す……

人間では無い者?


『狂ってる…!!!』


「名無しさん。大丈夫だ。お前はなるべく生かすように言っておる。私の大事な大事な娘だからなァ…!!!ふふはははは、くく、くきかかかかかかかかかか!!!!!」


遂に狂ったようにお爺様…いや、金蔵は笑いだした。

私はただ呆然として、それを見ているだけしか出来なかった


まだ、私の背後でドンドン闔が震えていた。


そんな、無駄なのに。


まるで今の私は悪魔に捕まり、どう調理されるかただ待つだけの兎の気分だった。


さあさ、ようやく始まった。

始まるのは滑稽な滑稽なゲーム。


ほら、皆スタンバイしているよ?


この二日間、踊って、叫んで、泣いて狂って絶望して悲観して人を信じれなくて

終わるのかもね。



END



やっと次の話で戦人達従兄弟組が出せそうです…!
 

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