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□第八話「懺悔」
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第八話 『懺悔』


夜。大きい雨粒が、六軒島全体に降り注いでいた。

『……う、うん…?』

名無しさんは、客間のソファーで目を醒ます。

「!名無しさんちゃん、起きたか!?」


『……此処は…』

「屋敷の中だ!おい皆、名無しさんちゃんが起きたぞ!」

留弗夫の大きな声で、各々各方向から集まって来る。

「うー!名無しさん大丈夫?」

『真理亞ちゃん…』


「名無しさん!良かった、目が覚めたんだな!」

「朱志香、名無しさんが辛いでしょうから大きな声は出したらいけません!」


「そういうお母さんだって声が大きいぜ!なあ名無しさん、お母さんったらずっと名無しさんの周り心配そうにうろうろしてたんだぜ?」

「いっひっひ、朱志香も名無しさん見ながら泣きそうになってたじゃねえか!」
「はは、戦人君も人の事言えないね。随分とさっきまで元気が無かった様だけど?」

「あ、兄貴ぃ!」


言うんじゃねええ、と戦人が譲治の口を塞ごうと飛びかかるが、ひらりとかわされ戦人は床と濃厚なキスをするはめになった。


それを名無しさんは笑いながら見ていると、肩を誰かにちょいちょいと軽く叩かれる。

「………名無しさんちゃん」

『絵羽、さん。』


其処には至極申し訳なさそうな絵羽さんが居た。

「ごめんなさいね、さっき…あんなに酷い事言ってしまって。本当、ごめんなさい…」

それは、心からの謝罪。

『……大丈夫です。私も、調子に乗りすぎたんです。だから、この件は無しにしましょう。私、そんなにも弱気な絵羽さん見たくありませんから!』

「…言う様になったじゃないのう、名無しさんちゃん。」

『ほら、もうこの話はお仕舞いです!私もうお腹ペコペコで…紗音ちゃーん、何でも良いから食べる物有るー?』

「は、はい!郷田さんに聞いてきます!」


ぱたぱたと足音を響かせ紗音は郷田の元へと駆けて行く。


「おー?もう話は終わったんか、絵羽?」

絵羽さんの隣に秀吉おじさんが現れた。

タイミングを見計らう様に出てくるのは、秀吉おじさんの特技だ。

「ええ…名無しさんちゃんは出来た子ねえ、私だったら絶対許さないものぉ!」

「おお怖、名無しさんちゃんは絵羽みたいになっちゃあかんぞ?」

「あら、それはどういう意味かしらぁ?」

「そのまんまの意味やで?…痛っ、こら絵羽!人を扇子で叩いたらあかんぞ!」

「貴方の言い方が駄目なのよう!………あら、名無しさんちゃんのご飯が来たようね。それじゃあ私達は自室に戻ろうかしら。…夏妃さぁん?私達先に戻るわよぅ。おやすみなさい。さ、行くわよ貴方ぁ」


「分かった分かった、ほな、名無しさんちゃんがっつり食べて栄養つけなあかんからな!」

『はい。おやすみなさい絵羽さん、秀吉おじさん。』


「お休みぃ、名無しさんちゃん。」

「お先にな!」

絵羽さん達はくるりと扉の方へ向きを変え、つかつか歩いていった。

その時、絵羽さんと夏妃さんが睨みあった…気がした。


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