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□さりげない優しさ
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「チキチキバンバン第一回『花瓶の水は誰が使うか』大会〜」
疲弊しきった中ようやく見つけた花瓶。中には水が入っていて顔が皆綻んだが…案の定使えるのは一回。無言の中私が口を開いた。
「私とイヴは綺麗だから良いよね!」
「うん」
メアリーちゃんとイヴちゃんが満開の薔薇を見せてきた。私は頷きギャリーと私の薔薇を見る
「しなっしな」
「凄いギリギリなのよ私」
「いや私だってほら見てこの茎やばいよ」
「ここは年長に譲るべきじゃない?」
「やだギャリーの薔薇凄い枚数有ったじゃん私五枚だけなんだけど!」
言い返せば確かにその通り、とギャリーが言葉を濁す。
「でも私はイヴの為メアリーの為に薔薇を散らしてきたけど名無しさんは自分の余計な行動で散らしてきたわよね」
「うっ!」
言葉に詰まる。…ま、まあ確かにマネキン壊して破片が体に刺さったりした、けどさぁ。
「教訓になったから良くない?」「そう開き直るのね?」
じと、とギャリーが半目で私を見てきた。見んな。
「まあ良いわ…譲ってあげる、ほら」
「…いいの?」
「私は次の花瓶まで慎重に行動するけどね」
す、と私の手から薔薇が奪われて花瓶に活けられる。瞬く間に綺麗に咲き誇る薔薇を見てギャリーが微笑んだ
「はい、名無しさん。大事になさいよ」
「…うん」
ちょっと、赤面する。何だよこのイケメン…オネェのくせして。
「白黒はっきりしろよー!」
「えっ何でいきなり怒ったの」
薔薇を握ったまま照れ隠しで走れば、何かにつまづき盛大に転んで薔薇の花びらが一枚散った。泣きたい。
end