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□懲りない訪問者
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「つまりだな、俺とお前は最初から結ばれるべき運命なんだ」
『そうですか去ね』

《懲りない訪問者》
(ああもうどっか行って)

私が腕に力をいれ、何回も扉を閉めようとするのに対し、迷惑しか私にかけてくれないコイツは足を扉の間に挟み閉まるのを防いでいた。
そのまあまあ良い仕立ての革靴が何回も扉に挟まれるのは見ててシュールだけど、そんな事より今私は焦っている。非常に。

『おい右代宮…何で知ってるのか知りたくもないけどアンタが私ん家来たら他の右代宮ファミリーも来るから早く帰って帰ろう帰れよ』

「だから戦人で良いって何回言えば良いんだよ!それに緑寿とかだがな、来ないよう口を酸っぱくして言い聞かせたから大丈」「名無しさんのパンツ見つけたわお兄ちゃん」「緑寿良くやった」『毛むしるぞ』





「悪いわね上がらせてもらって…」
『不法侵入してたよな?』

「駄目だぜ緑寿、名無しさんの家に上がるなら手土産でも持ってだな……あ、名無しさんこれ、紅茶」

あの後既に部屋の中に居た緑寿に文句を言う気力を削がれ、取りあえずこのストーカー兄妹を家に上げる事にした。ご近所迷惑にならないようにだ。悪しからず


『紅茶?ありがと』

貰える物なら貰っておく。右代宮一族に追いかけ回され学んだ事はこの事のみだった。…後はストーカー撃退法とか…

何にせよちょくちょく緑寿や緑寿の兄が持ってくる物で私の生活が潤っているのもまた事実なのでありがたく受け取る事にしている

『でもその代償に私の物持ってくのは止めろ』

「チッ…」

紅茶の高そうな緋色の缶を片手に下着へと伸びつつあった右代宮の手を睨んだ。


「別に良いじゃんか、パンツの一枚」

「そうよ、別に減る物じゃないじゃない」

『いや普通に減るし!』

平然と先程私のパンツを盗んだ(取り返したよ勿論)緑寿が若干口を尖らせながら言った。お前らの犯罪基準はどうなってるんだ。

『…とにかくこれを機にストーカーは止めて』

「「断る(わ)」」

『……………』

即答してきた残念な美形二人に一瞬殺意が沸いたが、それより早く諦めの念が沸く。…もう何か良いや…


「名無しさんにまとわりつく害虫は」

「私達が払ってあげるから」

「俺達はずっと」

「名無しさんを守ってあげる」

似た笑顔が私に向けられた。私はひきつった頬はそのまま、内心泣きたい気分になった。

『(もう、本当、)』

さっきから気付いてないと思ってるのか、右代宮がもう一枚私の下着を盗んだのを止めに足を進ませる。

『どっか行ってよ!』

「「無理」」


……またしも息ぴったりな二人に対し腹いせで右代宮を蹴ってやった。少しは反省しろ、後本当人の物盗むな。




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