黒バスで色々パロ中身

□覚醒
1ページ/1ページ


鷹>

明日、その佳奈子ちゃんが居る○○山行ってきまーす( ^ω^)レッツゴー!

987>

大丈夫なのか…つ塩

988>

そういえば、鷹が行ってた文字の羅列に有ったチームメートに聞いたのか?佳奈子ちゃんの事

鷹>

あー…知らないって。中学時代ずっと一緒の筈なんだけど

989>

そっか…

990>

やっぱり記憶消されてるんかな…鷹、佳奈子ちゃん助けて来いよ!

991>

行ってこい(`・ω・´)

鷹>

おう。明日もスレ作るからオカ板から輸入よろしく!


992>

まかせろ!

993>

ちょっとギリまでそれっぽい対策調べてくる

994>

1000になったら鷹が華麗に佳奈子ちゃんを助ける


995>

1000になったら別室組が佳奈子ちゃんの事助け出す

996>

1000になったら佳奈子ちゃんが自分で逃げるwww

997>

1000になったら鷹が結界師になって無双する

998>

1000になったらむしろ赤様無双になる

999>

1000になったら土地神もろとも皆成仏!!!

1000>





1000になったら

ぜんいんおんりょうにしてあげる


このスレは1000になりました次のスレに移行してください―――




「…うげ」

笠松は移動中のバスで露骨に顔を歪めた。深夜までやっていた今日行く○○山に閉じ込められた佳奈子、と言う子についてのスレだ。

半ば半信半疑で見ていたがこの最後の1000のレスを見て、最悪、と内心舌打ちをした

「(そういや昔のスレにもそれっぽいの書き込んでたしな)」

「笠松センパイがくろちゃんねるって珍しいッスね?」「うおっ!?黄瀬この野郎いきなり話し掛けんな!」

「ススススンマセンッスから殴るの!殴るの止めて下さいッス!」

いきなり覗きこんで来た黄瀬が長い睫毛の付いた目をぎゅっと閉じて、顔を庇った。

佳奈子の事を聞いてみても知らない、の一点張り。笠松は嘘だろ、とその時思ったが記憶を消されてると改めて実感して自棄に気味悪さに襲われたのは記憶に新しい。

「(釣りだったら何にも気にしなくて良いのによ)」

あの、数字の羅列が厭に切実だった。笠松は目線を落として浮かせていた腰を椅子に落として窓を見た


「……!?」

黄瀬はそんなアンニュイな彼に目玉が飛び出る程驚いていたが、これ以上何か言うと殴られそうなので大人しく座り直した



彼等を乗せたバスはトンネルを抜け、高く聳える山を前にした

若干霧が掛かっているがそれは高度のせいだろう、と大半は気にかけずに談笑していて。


あのスレを見ていた者達と実際彼女と会っていた者は言われようの無い緊張感に溜め息を付いた









なんで来たの

「………わからない」

なんで来たの

「お願い、やめて」

わたしがおいはらったのに


「皆に手を出しちゃ駄目…」


おねーちゃんはかえさないからね

「…うん」

ぜったいにかえさない

「……………帰れないよ」


からだ、わたしがかくしたもの


「………うん」

にがしてあげない あいつらもおんりょうにしてやる


「ッだめ!」

だっておねーちゃんだれかとはなしてた

そいつくるんでしょ

「っ…」

あとちがうところでおねーちゃんのことはなしてるばしょあった

あいつらもくるからおんりょうにしてやる

あいつらおねーちゃんのもじよめたの

「…文字って…くろちゃんねるの、あの数字の」


おねーちゃんにはかんけいないよ

わたしがやってくるから

「おねが、い…やめて!」


もうゆるさない

「かごめちゃん!!!!」






バスケ部の練習が終わって、しまった

あの別荘の部屋割りは何の因果かキセキの世代が全員集まり、後その保護者とも言える付き添い人が多々、入り込んだ

「黒子っちーーー!!!!!」

「テツくうーーーん!!!!」

「黄瀬君…桃井さん苦しいのですが…」

「まっさか黒子っちが同じ部屋だなんて俺嬉しいッス!キセキッス!」

「私も夢みたい!こんな一つ屋根の下泊まるなんて久しぶり!!!」

黒子が黄瀬と桃井に揉みくちゃにしていたのを見ていた青峰はふと言葉を溢した


「俺達のメンバーで泊まった事なんか有ったか?」

「え?何言ってるの大輝君。昔泊まったじゃない」

「…いや、そんな事無いのだよ」

「俺も記憶に無いかなー」

「僕も無いな」

「え、え、?何で、有ったじゃない!私でしょ…テツ君にミドリン涼ちゃん大輝君にムッくん、赤司君、に、」




「…佳奈子、ちゃん?」



桃井が不思議そうにぎこちなく、首を動かした。キセキの世代は若干怪訝にしたが限りなく反応したのはそのキセキのパートナー達で。

「もっ桃井さん!佳奈子ちゃん、って子の事知ってるの!?」

「忘れてたんじゃ…」

それぞれ驚いた表情の高尾、笠松、氷室はそう身を乗り出した各々を見てまた驚いた表情を出した

「エエッ、その鷹、っての俺!」

「君が…?世の中狭いね」


「釣りじゃなかったのか?」

何か自分達を置いてヒートアップしている三人を傍観していた黒子はふと窓際に佇んでいる火神を見た。こんなに静かなんて珍しい。青峰にケンカの一つや二つ売っている筈なのに

「………、…」

良く良く見れば微かに唇が動いている。囁く様なそれに歌でも歌っているのか、と思ったがそれは急に訪れた冷えに中断された



「(…さむい…)」

「あれ?だって、佳奈子ちゃん、が…私を抱き締めて、」

「さつき!?どうした!」

「大輝君、…もしかして私、私達、一年前に」

「一年前…中学生なのだよ」



「佳奈子ちゃんを…この山に置いてきたの…!?」



桃井がぼろぼろぼろ、と泣き崩れた。黄瀬が慌てて彼女の肩を擦るが頭を痛そうに抱えて。

「そうッス…一年、前に俺達は…此処に、泊まって?」

「女の子が…女の子が佳奈子ちゃんを」




「まさ、か」


高尾が小さく震えた声を出した。緑間は自棄に強張った彼の声にそちらを見る。天井を見ていたので視線を移せば、



赤黒く浮かび上がった子供の手の平。



そこからは嵐の様に早かった。

赤司と緑間が立ち上がり、塩は持ってないかと皆に話す。
高尾と緑間、氷室が持っていたので盛り塩を部屋の四隅にした。

途中で青峰が「佳奈子は一年間、此処に居たのかよ!?」と桃井と黄瀬に問い質して、必死に泣きながら頷く二人に顔を驚愕に歪ませる頃にはドアノブが錆び付いて外へ出れなかった


高尾と笠松、氷室が自棄に冷静なのに対して紫原は氷室に近付く。

「ねえ室ちん。俺も今徐々に思い出してるんだけど…室ちん達は佳奈子ちんの事、知ってるの」

「くろちゃんねるで見たんだ。佳奈子ちゃんが立てたスレであろう物に訳が分からない数字の羅列が有ってね。それを解読すれば、何とそれは君達キセキに助けを求める物だった…敦、君にもね」


「…佳奈子、ちん」

紫原が珍しく寂しそうに呟いた。氷室は徐々に徐々に浸食していく壁に聞いていたのとそのままだ、と呟いた


「…?大我…?」

気圧が重く苦しい中、確か大我はそう言うのが駄目だった筈、と彼に向けば真剣な表情で何か一人呟いていた。手は微かに何かを掴む様に動いて、

まるで大我の後ろに誰かいるような。

そんな錯覚を覚えさせた



「大我、」


話し掛けても無反応。ならば傍で聞いてみよう、と近づいた

「…ああ…分かった………先輩達も、…ああ、サンキュ」


完璧誰かと話している。悪寒に身を包まれた氷室はそそくさと紫原に寄り添った。頼りになるのは大きい人、だ

―――

「一年前と同じッスね…ぐす」


「佳奈子ちゃん怨霊になってないよね…私達の事、怒って、ぐす、うえええ…」


まだ怨霊などにも会ってないのに、泣き出している黄瀬と桃井に火神が近付いた。自然と二人は涙を目尻に溜めたまま、彼を見た


「大丈夫だ。佳奈子は怒ってなんかねぇ、って」


「…え」

「その代わり逃げて欲しいって言ってる。自分も何とか時間稼ぐから、って」


「……待って下さい火神君。佳奈子さんとやらが、見えているんですか?」

未だ佳奈子の事を思い出せない黒子は火神に近寄った。火神は片眉を上げてから後ろに居る『何か』を引っ張り、黒子の手も引っ張る

「テメエは霊感有るだろ?触るくらい…できんな」


そう言って、空間と黒子の手を近付けた


が、

「なっ!?」


急に火神の手が弾かれ、火神は何かを追う様に窓ガラスへ目をやった

「………あ」

ズズズ、塩を凄い速さで黒く濁らせ、壁が赤く染まる。赤い壁に縁取るようにして黒く浮かび上がる窓ガラスには、 女の子が貼り付いていた



「こいつが…」

<ほらね>

高尾が携帯を弄り始めた。少女はその人形の様な顔を歪ませ怨念籠った目で部屋をぎょろぎょろ見回す

「佳奈子!」

火神が明らかに少女の背後を見て佳奈子の名を呼んだ。それにつられて桃井が少女の手を見れば、人の手首の大きさの空間を少女は握り締めていて、

「佳奈子ちゃあんッ!!!」

今まで此処に居たのに、一年も私達忘れてたのに、またこの子に浚われちゃうなんて、

叫ぶ桃井に緑間は舌打ちしたくなった。何故分からない、何故思い出せない。それほどまでに俺は白石への興味が無いのか。

そう考えたが、赤司が忌々しげに少女と睨み合いながら口を開いた

「……違うな。僕達は霊感が強すぎるから涼太や大輝達よりも強く佳奈子を忘れさせたんだ」

<おねーちゃんを忘れろ!おんりょうにしてやる…怨霊にしてやる!!!!!>


舌足らずな声がハッキリとした呪怨の声に変わる。次の瞬間、ばくりと地面が黒く裂けた

赤司、緑間、黒子は目を見開く。そして落ちていくなか少女を見た。この浮遊感、

「…ああ、最悪です」

黒子がムスッとした顔で呟いた

「そうだな。俺も最悪なのだよ」

下に有る高尾と火神の悲鳴をバックに緑間が眼鏡のブリッジを押さえる


「……此処で思い出すなんてね」


佳奈子。赤司が呟く。黒く意識が塗り潰される中一瞬少女の後ろがぼんやり光った







[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ