黒バスで色々パロ中身

□終焉
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「…………ん、」

小さく身動ぎをする。百合の花の薫りがして、少し微笑んだ

唇に薄く花弁が当たるのを感じて瞼を開ける。水と、百合と、木のにおい。私はぼんやりとした視界が明確になるのを待っていた


「…………ぁ」

殆ど、吐息の様なそれ。目をすがめて、目の前に居る彼の名前を呼んだ


「あかし、くん」

「………………佳奈子、」


きっとこれが最初で最後なのかな。彼が泣きそうな顔をして笑ったのを見るのは。頬に添えられた熱い位の手に身動ぎしてから彼を見た

「…髪の毛、切ったんだね…にあってる」

囁く様に言えば、小さく目を見開いて、そして笑った


「良かった」

そう言って、私をゆっくり起こす赤司君。腕が全く動かなくて困惑していれば、百合の花がはらり、と髪の毛から落ちた。そして自分が入っている棺の周りに沢山有る百合の花弁に驚いてから視線を上に上げ、たら


「みん、な」




殆どが顔をぐちゃぐちゃにさせた皆が居た


「佳奈子ーーーー!!!!!」「青峰君うるさっ、でもっ佳奈子ちゃーーーん!!!」「佳奈子ちん良かった…」「相変わらずの間抜け面なのだよ…っ」「佳奈子っちいいいいい!!!!うわああああああ!!!!」「佳奈子さん…五月蝿くてすみません…でも、本当に」



嬉しいです


「で、」


「置いていって本当すみませんでした」


瞳が潤んだ黒子と緑間、安堵の笑みを浮かべた紫原と赤司、ぐっちゃぐちゃの黄瀬と桃井と青峰が同時に謝るのに吹き出す様に笑ってから「迎えに来てくれたから大丈夫」、と佳奈子は返した





「僕が姫抱きしよう」

「俺がする」

「俺がやる〜」

「僕がやります」

「俺やりたいッスよ!」

「俺が…やってやらん事も無い」

「私がやるー!」


「き、気持ちは嬉しい」


苦笑いして論争を始めた皆に昔のままだな、と笑っていれば隙間から此方を見る火神君と高尾君が見えた。


「火神君、高尾君」

そう大きめに呼べば、二人で顔を見合わせてから此方に来る。火神君はどっかと胡座をかき、高尾君は正座をした


「火神君と高尾君もありがとう。感謝してもしきれないね」

「佳奈子がカメラの事教えてくれなかったら俺達も立ち往生だったしな…お互い様だぜ」

「俺だって佳奈子ちゃんに守ってもらったし!」


「うん。…後さ、高尾君と火神君、どちらでも良いんだけど私を祠の外へ出してくれない、かな」


まだ言い争うキセキを見た火神と高尾は頷いてから火神に佳奈子を姫抱きさせた。


「私が外に出た瞬間、びっくりする事が起こるって」

「幽霊でビビり慣れしたからね…どうだろ」

「あはは…」

高尾に苦笑してから、一つ間を置いて、外に出た

佳奈子が赤い月を見上げる。そんな彼女の髪の毛を、風が揺らす

「……風…」

サアサア、ザア、ザアアア。

木々を揺らす風に外で待っていた人達は驚いて顔を上げた。風の中、帝光中学の制服をはためかせて上を見る佳奈子は神秘的で、彼女を抱く火神をもろとも包む様に祠の中から百合の花弁が吹き出す

「わ、あ…!」

リコが顔を綻ばせた。百合の花弁が風に乗って上へ、上へ飛んでいったのだ

量が多いそれは一つの生き物の様に舞い、赤い月を覆い隠す。

その景色は幻想の様な気がして、氷室と笠松は息を一瞬止めていた

そして、百合の花が、弾ける。



白い爽やかな薫りのする粉末が辺りに降り注いだ。見えなくなる視界に火神が思わず佳奈子を抱き締めたが、佳奈子は大丈夫、と笑って言って。


赤い月の異界は跡形も無く、消えた


―――

「………う、お」

勢い良く目を開けた火神がたじろいだ。

何故なら目の前に広がっていた景色が景色だったから。老若男女が歩き回り、ざわざわと連絡をとったり、話したりしていて賑やかなそこはあの陰鬱としていた○○山には見えない

「火神君」

目線を下ろせば抱いたままの佳奈子が太陽の光りに照らされて笑った

「今まで神隠しに有った人達だよ」

怨霊になってたけど、悪い部分だけ火神君が消したから戻ってこれた、の

「へえ…多いな」

「うん」「佳奈子」「ひょわッ!?」

佳奈子は火神に笑いかけていて気付かなかった背後の赤司に身を凍らせる。火神は無言で赤司に佳奈子を託した

「すまないね」

姫抱き、とはいかないが抱っこする体制に佳奈子は若干赤面する。

「あ、あかしくん」

「帝光中学の制服…懐かしいな」

赤司君が目をすがめたのにどきどきが押さえれないまま私は赤司君に抱かれるままになっていた。髪の毛伸びたね、とか、色白になった、とか。何だかくすぐったくて、溢れる様に笑えば赤司君は次の瞬間こう言い出した


「よし、佳奈子は僕の高校に来るんだよね?」

「………へ、」

「…ってさせるか!!!赤司テメエいきなり勧誘してんじゃねーよ!来い佳奈子桐皇!」

「桐皇!」

そう言いながら赤司君に特攻した青峰君とさつきちゃんに私は渡る。手足が使ってないから使えないのにむず痒さを覚えながら次は青峰君とさつきちゃんの顔が至近距離になった


「佳奈子お前おっぱいは…おお…美乳じゃねえか」「青峰君のバカ!」「げふっ!」「わああ!」


何故か胸元をいやらしい目付きで見る青峰君に下がっていればさつきちゃんに青峰君の後頭部が殴られ結果的に青峰君は私の胸に顔を埋めた

さつきちゃんがあーずるい!!と言って私の胸元に顔を埋めて来たのには羞恥で死にそうになったけど、何も出来ないのでただ恥ずかしさに耐えるだけで。

「っ…も、もうやめっ、て…」

息も絶え絶えのまま青峰君を見れば何だか鋭く目を細めて、さつきちゃんは妖しく笑って、

「佳奈子…」
「佳奈子ちゃん、」

「「襲って良」」「い訳ないなのだよ!!!!!この阿呆が!」

「あーんミドリン背たかーい!」

「みっ緑間君ありがと!」

一気に高くなった目線に青峰君が舌打ちしてからさつきちゃんを引っ張っていくのにビクビクしながら緑間君を見れば、眼鏡の奥の鋭い目線が私を見ていたので思わずびっくりした

「…一年も、この山に縛りつけられていたんだな…すまなかった」

「あ…うん」

「見る限り何故か栄養は足りているようだが…こうも白くて、髪の毛は黒。色付く唇は桃色と来れば…まるで白雪姫なのだよ」

「え…」

お伽噺の様なセリフを真剣にそう言われて恥ずかしさがぐぐぐと上がってきた。緑間君は私を少し寄せて、鋭い目線を和らげて。

「…………生きていてくれて良かった」

「…っ」


「秀徳へ来い、佳奈子」

そう矢継ぎ早に言われて思わずイエスと言いそうになったが、はたと思い留まる。しかし追い討ちで近くに居た高尾君にも「カモン秀徳!」と言われて逃げ道が無くなった。

「え、あ、あの、」

「駄目…か?」

ぐっ、と言葉に詰まった。一年の時を経ても私は緑間君のこの顔に弱いのだ。少し、ほんの少し八の字になった眉に四苦八苦していると、「佳奈子ちんげーっと」そんな間延びした声に、私の体が浮いた




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