黒バスで色々パロ中身

□紫原くんと黄瀬くんと魔法の飴
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ぱくり、と隣の紫原君が机に無数に並んだやや目に痛い色のカップケーキを一つ掴んで嬉しそうに頬張った。

鼻を霞める苺の匂いに、ああ、あのどぎついピンクのは苺味だったのか、とぼんやり考えながら私は羽ペンをガリガリガリと動かす


「佳奈子っちぃ〜…」

「何?」


前で項垂れる黄瀬君に軽く返す。紫原君は二個目に取り掛かっていた。早いな。


「薬草学のレポートがっ、終わらないッスよおお!」


「私なんか占い学のレポートなんだからね!!!」

ガリガリガリ!と半ばやけくそで羽ペンを滑らす。黄瀬君は泣きながら羽ペンにインクを付けて、羊皮紙に力無く文字を書いていて

「佳奈子ちんケーキいる?美味しいよ〜」

「気持ちだけ受け取っと……紫原君百味ビーンズ持ってる?」

「うん、食べるの?」

「口直しに…後気分転換?」

羽ペンを少しだけ休ませて、頭上に魔法で浮かぶ蝋燭を見上げた。目線を中庭を一望出来る大きな縦長の窓に移せば丁度クィディッチの練習をやっていたらしく、一瞬、金色に輝くスニッチが見えた。ラッキー。


「はい。佳奈子ちんの色」

「わあ…黒?ありがとう紫原君」

「いいよ〜。キセチンもはい」

「えっ良いんスか紫原っち!珍しい事も有るッスね、」

手に転がる黄色を見て喜色満面で黄瀬君はビーンズを頬張った。私も口に含む。


「……ん、カフェオレ味おいし」

「だと思った」

紫原君が黄瀬君を見たまま若干瞳を柔らかくした。紫原君百味ビーンズの味分かるの!?と言おうとして口を開ける前に、何故か黙りこくった黄瀬君を見れば。

「………この味は…」

「多分、耳く」「オエエエぺっぺっ!!!!く、口直しッス!!紫原っちそのチョコ下さ」「やだ」「ひどい!!」

ガタアアンと激しい音を立てて立ち上がった黄瀬君を見ながら私は杖でインクが零れないように固定する呪文を掛けた。ここでレポートがパーになるのは、耳くそ味を食べるより最悪だからだ

「黄瀬君これ上げるから落ち着いて」

「ええ?な、何ッスかこれ…飴玉?」

「ホグズミードで見つけたの。お気に入りなんだ」

涙目のまま私が手に出したきらきらと輝く紫と金の飴玉を頬張った黄瀬君。最初は不思議そうにもごもごしていたが、次の瞬間ぱああ、と顔が輝いて私は微笑む



「こ、これ…何か、ハロウィンの味がするッス!美味しい!」

「でしょ!楽しい行事を味とか効果で思い出させる飴なの!ハロウィンは色々なお菓子の味にパチパチ弾けるし、クリスマスのはホットミルクで体がじんわり暖まるんだよ!」


黄瀬君が次はチョコの味がするッス、とニコニコしながら飴玉を舐めるのを見ていれば不意に横からずしりと肩に重みが来た。

「…キセチンばっかりずるーい」

訳せば、俺にもちょうだい。私は苦笑して綺麗な黒と金のリボンで結ばれた紫色の袋を開けてうずうずしている彼に見せた


「ニューイヤー、後イブのも有るんだよ。クリスマスにクリスマスイブ、イースターとか…」

「この赤いのは?」

紫原君が袋の中から赤く反射する飴玉を取り出した。燃える様な赤のそれは、

「クィディッチ決勝戦の味」


瞬きすれば既に紫原君は口をもごもごさせていた。


(あああ!紫原っちだけクィディッチ決勝戦とか、渡さないッスよ!)
(キセチンはレポート終わらないとクィディッチ出来ないんじゃないの〜。あ、これ観客席で食べるポップコーンの味だ。おいしー)

(ううっ、正論ッス!)
(私だってこのレポート終わらせないとホグズミード無しなんだからね!先生め!)

(佳奈子ちん頑張れ)

(俺は!?)






 

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