黒バスで色々パロ中身

□赤司くんと男前少女とストーカー
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(メンタル弱司注意報)




「ストーカー?」

「ああ…変な手紙や視線…とか…」

「ふうん…大丈夫?」

「部活の支障を来してない程度、には」

「うーん…手紙は?」

「………有る」

部活後、日も落ちかけてきた頃昼に赤司君に「部活後正門で」と言ういかにも王様なメールが来た。が、

「っ、…どうすれば…」

私に例のストーカーからの手紙を渡してから項垂れる赤司君は何処からどう見ても弱気な普通の男子高校生だった。

最初はこのギャップに少なからず驚いたものの、仲良くなっていってるからこうやって打ち解けて来てくれてるんだと気付いたので私も今は彼の相談役兼友達を続けているのだと、そこまで考えてから手紙を見る

「君をずっと見てる…僕の赤司…逃がさないよ……テンプレだなぁ」

「……テンプレ、?」

「定型文って言うこと。ストーカーからの手紙は漫画でもドラマでも現実でも同じような物だね」

赤司君が不安気に揺れて、ふうん、と息を溢した。私は一通り読み終わった手紙を折り畳み、懐に仕舞う

「これは私が預かっておくね」

「あ、ああ」

私は鞄を背負い直した。日が完全に落ち、電灯がパパッと点滅しながら点く。この手紙は万一の保険にしようと考えながら赤司君の家を目指していれば、彼は小さく唇を開いた

「…今日、両親居ないんだ」

「へえ」

「佳奈子さえ良ければ、泊まってくれないか」

「…………へ?」

「家に居ても視線を感じるんだ…独りなんて」

「(………)良いよ」

「っ助かるよ佳奈子!」

オッドアイを軽く見開き頬を染めた赤司君にやっと明るくなったねと言えば彼は恥ずかしげに俯いてから佳奈子のお陰だよ、と言った



征十郎の家に女が入り込んだ。僕は彼の家の様々な所に散りばめた盗聴機から聞こえる女の声に歯をギリリと鳴らす


「…今日は征十郎の両親は居ないからお邪魔しようと思ったのに」


望遠鏡で彼の部屋を見る。何故か嬉しそうな征十郎に、あの女。僕は望遠鏡から目を離し横目で包丁を見る


そうか、あれで刺せば良いのか。

そうと決まれば有言実行だと僕は包丁をハンカチにくるんで部屋から飛び出す。待っててね征十郎、邪魔者は僕が刺すから



「(さて)」


赤司君を無理矢理お風呂に押し込み私はぐるりと家を見回す。既に五個程盗聴機が制服のポッケに入っている、多いわ。

「赤司君の部屋が見えるのはあっちの方角のマンションだけだし」


じと目でマンションを見る。カーテンをシャッと閉めて、それでカーテンの裏にくっついていた盗聴機も握り潰した

「怪しい所は全部調べた…こんなものかな」

盗聴機で重くなったポッケに息を付く。さて、後はそのはた迷惑で気持ち悪いストーカーが行動するか否なのだが。

「…………暴力沙汰になって赤司君泣かないと良いんだけど」

まあ、多分、奴は来る



「盗聴機が一つ、壊れた」

これだから無神経な女は困る。征十郎の部屋を引っ掻き回して知らずの間に壊したのだろう、征十郎は乱暴ではない。

イヤホンを耳からむしり取り、幾度となく通った彼の家への道を小走りで通る。今から汚らわしい女を消せると思うとゾクゾクした

「待ってて」





「…佳奈子が、作ったのか?」

佳奈子に異様に薦められ風呂に入ったのだが、髪の毛を拭きながらリビングに行けば僕の好物の湯豆腐が入った鍋が机の上に乗っていた

佳奈子は「簡単、美味しいすぐ食べれる」と笑いながら僕用の皿に鍋をよそい、僕の目の前に置いてくれる。ふわりと漂う暖かさについ頬が弛んで、「何から何まで助かるよ」そう言えば佳奈子は鍋をよそいながら笑った

「赤司君の好きな物が湯豆腐で良かった。だって簡」《ピンポーン》「………単だもん」

ぽちゃん、佳奈子の皿に豆腐が落ちる。形の崩れたそれを見ながら誰かな、と僕は箸を置いた

「見てくるよ」

「…私も行くよ、待ってるの何だか寂しいし」

「ふふ、何だいそれ」


佳奈子が後ろにとことこ着いてくるのを後目に扉へ歩いていく。あ、インターホンの画面確認するの忘れてしまったな、と思った瞬間、

ガチャリと開けた扉の向こうには剥き出しの包丁を持った男が居た

「こんばんは、征十郎。風呂上がりかい?」

「………な、」

「ああ、君か。征十郎にまとわりつく害虫は…すまないが消えてくれ」

まったく悪びれない顔で男は包丁を振り上げた。一瞬刺されるかと身構えたが狙いは後ろの佳奈子だったらしく、

「佳奈子ッ!!!」

駄目だ、彼女は死んでは駄目だ。お願いだ、だって彼女は、

潤み出した視界でバッと振り返る

ガンッ!!!

僕の耳に届いたのは彼女の肉が包丁により裂かれる音だっ…………違った。

「花の女子高生に向かって害虫って…ランクダウンにも程があるわ」

「頭かちわるつもりだったのに…何で防ぐんだよ、害虫」


僕の耳に届いた音は金属音だった。何かにぶつかるような、そんな物に彼女を見れば、彼女はフライパンを構え包丁を防いでいて。

「………佳奈子、っ」

「赤司君。大丈夫だからね」

そう言って微笑む彼女に僕はこの凄惨たる状況にも関わらず、安心してしまった

(……それで佳奈子が超人的な速さでストーカーに殴打を繰り返してね…すっかり伸びきったストーカーを踏んづけながら「ほらね、大丈夫」なんて言ったから僕は…僕はもう抱かれたいとまで思ったよ)

(もう、征十郎君ってば…そういえば鍋が冷めちゃったのだけはストーカーに一枚取られたね)

(冷めてても美味しかったさ。…これが僕達夫婦の付き合い始めたきっかけだよ)

(嘘ッスよね!?)

(次はケーキ入刀だね!)

(夫も夫なら妻も妻なのだよ…!)




 

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