銀魂小説

□幸か不幸か
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あの病院で出会った医者は、俺の遠い日の記憶を呼び起こすきっかけとなった。



【幸か不幸か】



放課後。部活生は部活に励み、帰宅生は今から何処に行こうか、と思いを巡らせる時間。
そんな俺は剣道部、副将だ。
そして今は練習中。相手はこの部の一応エースの沖田総悟。
いつもやる気のない顔で鋭い突きを入れてくる奴だ。油断がならない。
そして何故か俺に嫌がらせしてくる一年生だ。

「土方さん、俺にその地位譲る気ないですか?」

まただ。いつもこう言ってくる。

「お前なッ・・・・!いま練習中だぞ!!つか、しつこいぞッ・・・・ぅおッイデッ!!!」

うわっ、こいつ今本気で打ってきやがった!げッ!腕腫れてるし!!

「大丈夫ですかィ?いやぁ、すいやせん」

まったく謝る気の無い声で俺に謝ってくる総悟。
俺の怒りが頂点に達した。


「ゴラァァァアァ!!総悟ォォオオォォ!!今日という今日は許さねェェェェエェ!!」


「こ、こら!トシ!やめなさい!総悟も謝ってることだし!な?」

俺を止めに入ったのは剣道部主将の近藤さんだ。

「近藤さんっ!もぅ俺我慢できねぇ!!」
「それより!お前すごい腕腫れてるぞ!保健室いって来い!」

俺は「そこまで痛くない」と近藤さんに言おうと口を開きかけた時、

「近藤さん、今日保険医学校にいませんぜぇ?」

と、爽やかな笑みの総悟が言った。

「土方さん、俺の行き付けの病院教えますから行って来たらどうですかぃ?」

何故かにやり、と効果音がつくような笑いを浮かべている。
正直、俺はこいつが苦手だ。
このドSが―――――。
そして何故か俺がいじめられる。
顧問の坂田銀八からもいじめられる。

「じゃあ、トシ。ここだそうだからさっさといって来い」
「え?」

俺の意思はまったくの無視?てな感じに話が進んでるんだけど・・・・・・。

「でも、近藤さん!ほら、まったく問題ねぇし!」

俺はわざとらしいくらい腕を振ってみせる。
総悟は俺の腫れた腕をじっ、と見つめ、そして俺の腕を、腫れた腕をぎゅっ、と掴んだ。

「うぎゃぁぁぁああぁぁぁあ!!」
「・・・・・・やっぱり、痛いんでしょ?我慢しないでくだせぇ」

総悟はとても哀しそうな目で俺を見てきた。

「・・・・・総悟・・・・・?」

だが、そんな目も一瞬のことですぐにいつものドSの目に戻っていた。

「ふふぅ、よかったですねぇ。俺が行ってる病院はいいとこですぜぇ?きっと、俺に感謝したくなりますぜぃ」

なにか意味ありげに笑う総悟に俺は悪寒がした。



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