銀魂小説

□気まぐれにゃんこの来訪
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突然会いたくなる時がある。


【気まぐれにゃんこの来訪】


ここ何日間か降り続いた雨なんて感じさせないくらいよく晴れた今日。
普段なら雨の日の荒れ狂う髪とお別れできて嬉しいと跳ね上がるところであるが、今の俺は死ぬほどへこんでいた。


「なんで浮気とかすんだよ・・・男なら一人の女を死ぬまで愛し続けろよォ」


雨の日が続いてから珍しく連続で仕事が入っていた。
その全てが『浮気調査』。
やれ証拠写真を撮って来い、やれ旦那と浮気相手を別れさせろ、などなど。
元々こんな仕事をしたって何の影響も受けない俺が今回に限っては心を揺さぶられ、鬱状態なるほどの泥沼劇だったのだ。
と、いうのも最後に請けた仕事が何というか、自分と重なるものがあったからだ。

最近、妻が浮気をしているらしいからその現場を写真に収めてくれ、と夫から依頼を請け、俺はホテル街で渡された写真を頼りに張り込みを行っていた。
そう簡単に見つからないだろう、と思っていると目の前を一つの傘を差して楽しそうに通る若い男とそれなりに綺麗な女。
即座に写真と見比べ、渡された写真の女と確認すると俺はバレないように二人の後を追った。
当然のように如何わしいホテルへと入ろうとしている二人にピントを合わせ、シャッターを押そうとした時、男の声がその場に響いた。
俺は何事かと目を見開きそちらを見れば、依頼人の男が傘を投げ出し怒りの形相で男女へと近づいてきていた。
ホテルの前、一人の女をめぐって二人の男が取り合っている図。
みっともない争いに俺はその場を後にした。
自分を見ているようで、見ていられなかったのだ。

『高杉ィ!次会ったら仲間もクソも関係ねぇ!全力でお前をたたっ斬る!!』

そういって突きつけた刀。
ニヤリと笑う、テロリスト。
後ろに佇むグラサンヘッドフォンの長身の男。

恋人を取られた気分ってたぶんあんな感じ。
腸が煮えくり返りそうになる。
浮気をされた男と同じ。
あの、旦那と同じ気持ち。

アイツの隣は俺の場所だったのに・・・。


「銀さん!いい加減にしてください!折角晴れたっていうのにジメジメしてェ!」

「そうヨ、銀ちゃん!そんなにジメジメしてたら股間にキノコ生えちゃうヨ?!」

「いや、もう生えてるから。大層立派なキノコが生えてるから。あー、晋ちゃんに銜えてもらいたいー」

「お呼びヨ、新ちゃん!銀ちゃんのキノコ、銜えてやるヨロシ!!」

「だァァァ!!止めろォ!しんちゃん違いだから!絶対僕じゃないからァ!!」


俺の股間の前でワイワイぎゃあぎゃあ。
何だテメェらそんなに俺のキノコが好きですかァー?
チクショー・・・晋ちゃーんカムバーック・・・はぁ・・・


「・・・てか、テメェらうるせぇよッ!!今日は万事屋休みにするからどっか行けッ!!」

「えっお休みって・・・仕事するつもりだったんですか?!珍しい!」

「キャッホーイ!休みアル!新八!酢昆布買いに行くアルよ!!」

「ちょっ、待ってよ神楽ちゃん!!・・・銀さん!何かあったら電話してくださいねッ」

「・・・おーう、楽しんでこいよォ」


ヒラヒラと手を振って、新八と神楽を見送り、漸く静かになったとソファに横になった。
独りになった所為でもっとごちゃごちゃと高杉のことを考えてしまう。

俺ってホント馬鹿だ・・・
何であの時、アイツのこと手放しちまったんだろ・・・


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