銀魂小説

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【ネオンに煌く美しい君】(金魂・金高)

ふらふら、ふらふら。
ネオン煌く歌舞伎町を歩く。
しつこいくらいに言い寄ってきた女の相手を早々に済ませ、自分の働く店へと戻る。
戻る途中、ふと目に止まった裏路地。
だるい身体を一旦止め、裏路地をじっ、と見つめる。
金属同士がぶつかり合う音と、何かが倒れる音。
そして『うぅ・・・』と、唸る声。
俺の脚は自然と裏路地へと向かっていた。

「死ねぇ!!」
「・・・誰に向かって口聞いてんだぁ?」

ズバッと肉が切れる音がしたかと思うと、続いてズシャと糸が切れたように倒れる肉の塊。
鉄臭い裏路地に屍となったものをはべらせ、隻眼の男が一人、立っていた。
ちら、と目が合う。
動けなくなった。

「・・・誰だ、テメェ。こいつ等の仲間か?」
「・・・え、あ・・・まっさかぁ。しがないホストですよぉ」
「ホスト・・・?」
「あそこの、ここの向かいにあるホストクラブ。一応、NO,1なの、俺」
「あぁ・・・それなら知ってる。『外国製ホスト軍団に滅ぼされそうな和製ホスト』、だろ?」
「・・・!」
「で?そんな和製ホストが人の仕事に口出ししに来たのか?」
「仕事?」

隻眼の男がにやり、と音の付きそうな笑みを浮かべ、目を細めながら一歩前へ出る。
廃刀令の出ている世の中で、彼の瞳は彼が腰に差している『刀』そのものだった。

「万事屋晋ちゃん。聞いたことくらい、あるんじゃねぇの?」
「万事屋・・・あ、あの危険な仕事しか請けないって有名な・・・?」
「人がどう思ってるかは知らねぇが、まぁ、間違ってはいないな」

くっくっ、と笑い更に一歩前へ出る。
俺との距離はざっと見て、2メートル。

「えーと・・・俺、殺されちゃったりするのかな・・・?」
「何故?俺の仕事はお前を殺すことじゃねぇ。まぁ、そんな依頼が来れば容赦しねぇがな」
「あはは。怖いねぇ、万事屋さん」
「くっくっ、精々敵にならないことを祈るんだなぁ」

『坂田金時』
と、すれ違いざまに言われ、驚く。
慌てて振り向けば、ネオンに煌く彼の姿が。
不覚にもドキリと胸が高鳴る。
ホストになってから、忘れていた感情。
それを引き出され、俺は呆然と歩く彼の後姿を見つめることしか出来なかった。


2009/04/06


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