銀魂小説

□ssログ3
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【何コレ】(銀高+また子)

「……何だコレ」
「また子には全く見当もつかないっス」
「万斉の置き土産か?」
「さ、さぁ…?」

高杉とまた子は箱の中身を見て、首を傾げた。
きらびやかに装飾された箱に入っていたのはとびきり甘そうなデコレーションケーキ。
凝ったデザインのそれを見て、高杉は口元を押さえた。

「うっ…誰だよこんなもん俺に寄越したのは…」
「差出人不明っス。晋助様にとっては嫌がらせ以外の何物でもないっスね」
「全くだ」

甘いものが嫌いな高杉にとって今目の前にある物体は脅威でしかない。
高杉は鼻を押さえてケーキから目を逸らした。

「また子。それ処分していいぞ。何ならお前が食っても構わねぇ」
「ま、マジっスか?!…っ、でも太る…!!」
「ならしょぶ…」
「食べるっス!勿体ない…!」
「…あぁ、そう」

目をキラつかせてフォークを取りに行ったまた子の後ろ姿を見送った後、高杉はちらりとケーキが入っていた箱を見た。
そしてあることに気付いた。

「(あれ?箱の裏に何かが…)」

クリームが付かないようにビニール袋に入れられた紙が箱の内側に貼付けてあった。
高杉はそれを丁寧に剥がし、袋から取り出した。

「こんなの付いてたなんて気付かなかった…」

ペラッとめくると高杉の表情に明らかな変化が見られた。
いろいろな感情の含まれた複雑な表情。
高杉という人物を知らない人間にとってはその表情を読み取ることは不可能だが、彼の近くで常に行動を共にして来た者には何と無くではあるが多少感情のわかる表情だ。
嬉しいような悲しいような、そんな彼にしてみれば珍しい顔だった。

「…銀時」

ぼそりと呟かれたのは愛しい夜叉の名。
未だ忘れる事など出来ないその名前に、高杉は胸を締め付けられるような思いが篭る。

《誕生日おめでとう。お前が生まれて来てくれてよかったよ。by白夜叉》

気だるげな文字で書かれたお祝いの言葉。
高杉はその文字を何度も読み、そして笑った。

「銀時ィ。俺の誕生日まだなんだけど」

その呟きが夜叉に届くかはわからないが、高杉は腹いせに手に持っていた紙を破り捨てた。


2009/07/24


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