銀魂小説

□まさかのVD?!
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学級閉鎖かの〜、と豪快に笑っている坂本に笑えねぇよッ、と新八がツッコミを入れている。
だが、銀八には坂本と新八の言葉なんて聞こえていない。
繰り返される言葉はただ一つ。

『おんしのクラスの女子は全員休みじゃ』

休み?
インフルエンザで?
そんなヤワな奴らだったか?
てか、何で今日なんだよ?!

一番のチョコ収入源は大体が自分のクラスである。それにも関わらず、女子は全員インフルエンザでダウンしてしまっているのだ。
本気で泣いている銀八の後ろ、前のドアから一人の生徒が入って来た。
今日も不機嫌オーラを撒き散らして隻眼の瞳が印象的な生徒、そして、銀八が今最もチョコを渡されたい人物、高杉晋助である。
銀八は高杉を確認するとガバッと抱き着いた。

「晋ちゃ〜んっ!!」
「うわっ、ちょっ、何すんだ変態教師ィィィイ!」
「ハベラッ!」

問答無用で殴り飛ばされた銀八は不可思議な言葉を発し、痛む頬を押さえて高杉を見た。

「なっなっなっ〜!?」
「日本語話せ、クソ天パ!急に抱き着くなよ!!」
「ゴメンナサイ!」

何故か素直に謝る銀八に高杉は調度近くに立っていた坂本を盾に様子を窺う。
その姿はさながら野良猫で、銀八は何と言うかちょっと萌えた。

「…で、何の用だよ?遅刻して来たことか…?」
「その事ならなかった事にしてあげるよっ」
「…は?」

露骨に不気味そうな顔をする高杉に銀八は笑顔を崩さぬまま、言い切った。

「俺にチョコくれたらねっ」
「チョコぉ〜?」
「勿論、用意してるはずだよね〜?」

恋人だもんっ、と一目も気にせず公言した銀八に高杉の右ストレートが綺麗に決まった。
自称恋人の銀八は照れ屋さん、と殴られた頬を摩りながら、情けない笑顔を浮かべ、高杉を見つめている。

「訳分かんねぇ事言ってんじゃねぇ!誰が恋人だッ」
「酷いッ!あの時交わした約束は嘘だったの?!」

女優さながらハンカチを口に加え、ギャアギャアと意味の分からない言葉をまくし立てる。
何時約束交わしたんだ、と文句を垂れながら学ランのポケットに手を突っ込む。
ゴソゴソと漁くり、手に当たる固い感触の物を掴み、勢いよく銀八に投げ付けた。
こーん、と音を立て反動で銀八の真上に上がり、それから落下して銀八の手の中に納まった。
銀八の目が見開かれる。



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