銀魂小説

□まさかのVD?!
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「こ、これは…」
「…お返し、期待してるぜェ?」

呆然と立ち尽くしている銀八の横を通りながら囁く。だが、銀八からの反応はない。それでも気にせず高杉は自分の席についた。

「(よかったぁ、ポケットにチロルチョコ入ってて。忘れてただけだけど、安くついたぜぇ)」

高杉はほっ、と息をついた。
高杉は今しがた銀八に言われるまで今日がバレンタインだということを忘れていたのだ。
ヤバイと思ったが昨日銀八から貰ったチロルチョコを思い出し、これでもいいか、と投げ渡したのだ。
そんなことなど露知らず、銀八は自分の手元にある小さなチョコに目を輝かせていた。

「(晋ちゃんが…晋ちゃんが俺にチョコを…!!幸せ過ぎて死にそう!)」

銀八にはそのチロルチョコが宝石のように輝いて見えた。

「晋ちゃん!」
「…ん?」
「愛してる!大切に食べるからねっ」
「…!」

銀八の喜びように高杉は罪悪感にかられた。
自分が上げたチョコと知らずに喜ぶ銀八が不憫になり、高杉は席から立ち上がり銀八の元まで行くとチロルチョコを引ったくった。

「あぁ!何すんの?!」
「今日一日待てッ!」
「え?」
「今日までにチョコ、用意するから!」
「……」
「だから、こんな小さなチョコで喜ぶなよ…!」
「し、晋ちゃん…!」

二人はそこが教室と忘れてラブラブオーラ(死語)を撒き散らしていた。
いや、銀八は知っていただろう。むしろ悪い虫を追い払うために彼等の目の前でやっているのだ。
高杉を狙っているものが多くいるから。

「(晋助は誰に渡さねぇ…!)」

こうして、女子不参加という悲しいバレンタインは始まり、銀八の一人勝ちに終わっていった。

その日の放課後、急いでチョコの材料を買いに行った高杉から手作りトリュフを貰った銀八は嬉しさのあまり号泣したとかしなかったとか…
それは銀八と高杉しか知らない。



終わり
(あとがき)



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