銀魂小説

□出会い
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それから程なくして松陽先生が死んだという知らせが入った。交通事故だったらしい。
子供がボールを追いかけて道路に入ったところを助けて轢かれたのだと。それを聞いた時「あぁ、あの人らしいな」と思った。最後まで子供を大事にした死に方だと施設の先生達が泣きながら話していた。

不思議と悲しくはなかった。折角信じられる人に出会えたのにも関わらず涙一つ出てこなかった。それに気味悪がって益々周囲から浮き出していた。
でも、気にしなかった。少なくとも昔よりはマシになった。夢が出来たからだ。
教師になろう。松陽先生のような信じることの出来る教師に。俺のような子供を救える教師になろうと。


そして俺は念願の教師になった。少子化が進む中、ちゃんと雇ってくれる学校もあり、教職に就けた。
毎日自分のペースで生徒たちと接した。それが何の飾り気がなかったらしく、生徒受けがよく、あだ名で呼ばれるくらい人気の教師になれた。

そして、出会った。俺と同じで人を信じることを知らない生徒に。自分以外のものは全て敵のような目をしたあの子に。


「高杉、晋助?」
「そうじゃ。今度君が受け持つクラスにおる問題児じゃよ」
「問題児って…既に俺のクラス問題児だらけっぽいんですけど…」
「じゃから、それ以上、ということじゃ」
「それ以上っすか」
「そうじゃ。くれぐれも喧嘩等起こさせんように」
「んなこたぁ、言ったって、船長」
「いや、船長じゃないからね?わし、校長だから」
「餓鬼の喧嘩に大人が首突っ込むってどうなんすか?大人げなくね?俺、大人げなくね?」
「その歳でまだジャンプを読んでいる奴が何を吐かしておる。…まぁ、未然に防げ、ということじゃ。おぬしなら何とか出来るじゃろう」
「俺ぁ、アンタのドラ○もんじゃねぇよ、馬鹿」
「ねぇ、せめて校長は付けよう?」



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